5月某日、北大総合博物館の植物学者 首藤光太郎先生から「いいね!Hokudaiの記事にできないか」とご連絡が。
何やらあまりお目にかかれない植物を北大で発見され、興奮しているご様子。しかし、同時に、そっと見守っていかなければならない植物だそうです。
植物学者の首藤先生をも驚かす植物、一体どんな植物なのか、先生に案内してもらい、いいね!Hokudai取材班も見に行きました。
「めちゃくちゃ、かわいい。」
日の光がまぶしいなか、木陰に小さく咲く白いお花がありました。
素朴で控えめながら、強い存在感を放っています。
一目見て、これは見たことない、という植物。
葉が小さく、数も少ないように見えます。
でも、この花は特定の環境でしか咲くことができないそうです。

これはユウシュンランというラン科の植物です。よくお花屋さんで見る他のランと違って、花がまっすぐ上向きに咲くのが特徴です。
周りの植物とのコントラストが不思議な雰囲気を作っていました。

ユウシュンランは地中の菌類から栄養を得ており、その依存度が高いことが知られているそうです。葉が小さいのも光合成に頼らない栄養の取得方法があるからなんですね。
ただ、そのため、どこででも咲けるわけではなく、移植してもすぐに枯れてしまいます。
2025年5月現在、環境省のレッドリストで準絶滅危惧に指定されています。
もし北大でユウシュンランを見かけても、触ったりせず、距離を取って静かに見守ってください。この植物がこの先も命をつなげるよう、そっとしておくことが何よりの保護になります。
ユウシュンラン、実は北大にゆかりのある植物なんです。
このユウシュンランという和名は東北帝国大学農科大学(今の北大)の助教授であった植物学者 工藤祐舜(くどう ゆうしゅん)に由来しています。工藤祐舜は、札幌農学校(今の北大)の2期生で同大学教授の植物学者 宮部金吾を師とし、宮部金吾との共著「北海道主要樹木図譜」など数多くの業績を残しました。
しかし、44歳という若さで、台湾でその生涯を終えます。工藤祐舜が早逝した際に宮部金吾が悲しみのもと新種発表をしたとされています。

首藤先生も北大でユウシュンランを見るのは初めてとのこと。
北大構内で記録されるのはこれが初めてでした。
このユウシュンランはどこから来たのでしょう。
北大に咲く、北大にゆかりのあるユウシュンラン。
北大は創基150周年を迎えようとしています。ユウシュンランが、なぜこのタイミングで姿を見せたのか。何かのメッセージを北大に伝えに来たんじゃないかと想像が膨らみます。