札幌キャンパスの総合教育棟(旧・高等教育推進機構)の建物に囲まれた中庭に、一本の長い棒が立っています。
棒から地面へ伸びる何本もの細い線。そばには、青いシートに載せられた小さな機器もあります。
これは、いったい何のための装置なのでしょうか。

近くから見ると、中央の支柱を囲むように、線が大きく張られていました。

装置から伸びるケーブルを追うと、建物の中へ続いていました。中庭に通じる扉には「授業で中庭を使用するため」という掲示があり、近くには「地球惑星科学実験準備室」の表示もありました。
調べてみると、1年生向けの授業「自然科学実験」には、「VLF帯電磁波で探る雷活動」というテーマがあります。写真の装置は、この実験に使われるアンテナである可能性が高いようです。
雷と聞くと、空を走る稲妻や、大きな雷鳴を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、雷が発生するときには、光や音だけでなく、目には見えない電磁波も放射されます。
その中でも「VLF帯」(超長波。3〜30kHzの電波)と呼ばれる電磁波には、地表と、電気を帯びた粒子が多く存在する「電離圏」と呼ばれる上空の層との間を、遠くまで伝わる性質があります。そのため、札幌では雷鳴が聞こえないときでも、遠くで発生した雷から届く信号を捉えられることがあります。
細い線で支えられた中庭の装置は、その電磁波を受信するアンテナとみられます。受信した信号を記録して特徴を調べることで、札幌からは見えない遠くの雷の活動を探っているようです。
一見すると、ただの棒と線に見える装置。しかし、その先は、遠くの空で起きている雷につながっています。
北大のキャンパスでは、不思議な装置を見かけることがあります。何気ない風景の中に、目には見えない世界を調べる科学が隠れているかもしれません。

