バトンは岸道郎さんから、ナ・ハンナさんに渡りました。
5歳からピアノを習っているハンナさんはビルエバンズが大好き。北大に着任してからは、週に1回ほど、国際交流会館で練習しています。特にクラシックやジャズの演奏を楽しんでいるそうです。
ソウル生まれのハンナさんは、3歳のときに、ソウルから車で約3時間ほどの中規模都市、ジョンジュ(全州)に移り、そこで成長しました。
子供のころから、「科学者になりたい」と漠然とした夢がありました。その想いを決定的にしたのは、サイエンスハイスクールを卒業後、ソウル大学の地球環境科学部に進学し、とある授業を受けたことがきっかけでした。
学部1、2年生は、4つの科学分野(海洋学・気象学・地質学・天文学)からオリエンテーションの授業を2つ受けることができます。ハンナさんは「海洋学」と「気象学」の授業を選択し、その「海洋学」の授業で実際に韓国の東海岸に向けて船に乗り、海を肌で感じることができました。このとき「海の研究」に魅力を感じ、現在の分野へと進路を決めたそうです。
現在は、北太平洋でどのような変化の特性があるのか、また、さまざまな時間スケールで、どのように海洋が変化するのかという点に興味を抱いています。また、気候における海洋の役割に注目して、研究を行っています。
(タブレットを用い、研究対象の海域について解説をしてくれました)
ハンナさんは、2年前(2013年)に、アメリカのロードアイランドでの研究を経て、北海道大学に着任しました。
インタビューには、流暢な英語で対応してくれたハンナさん。「日本語を使うことはないんです。だから、来日して2年たちますけど、日本語は話せなくって」と恥ずかしそうに笑いました。大学内では、研究室の秘書さんが書類作成などをすべてフォローしてくれるので、言葉の壁は特に感じないそうです。でも最近気がかりなこともあるようです。
現在は、特任助教のハンナさんですが、4月からは、「助教」になり、いずれは授業も担当します。「英語の授業が学生たちにとってストレスにならないか、テストは日本語にしたほうがいいのか、先輩の外国人教員に相談するつもりです」と早くも準備を開始するようです。
既に学生からは研究についての質問や、「どうやって英語を勉強したのか」という勉強方法について聞かれることもあるんだとか。ちなみにその答えは「英語の小説や映画は大好きです。そのほかに、毎朝アメリカのニュースを聞きながら朝食をとります」と日々、スキルアップに努めているそうです。
バトンを渡してくれた、岸道郎さんとは、7年ほど前から、学会などで顔を合わせていたそうで、印象に残っているのは「ちょうどハロウィン時期に開催された学会の懇親会に、わざわざ仮装をして出席されたんです。ちょっと何に化けたかはわからないですけど(笑)。わざわざ“日本で衣装を調達して持参した”と聞いて、驚いたんですよ」と、海外での岸さんの様子も教えてくれました。
研究だけではなく、冬の北海道も満喫しています。昨年2月には、友人たちと網走でオーロラ号(流氷砕氷船)に乗り、流氷を間近で見て、「すっごく寒かった(笑)」と振り返りました。旅行中に食べた「駅弁」、中でもカニめし弁当が思い出に残っているそうです。3月には、韓国から両親も来道し、再び網走をおとずれる予定です。
もしかすると 今頃は、船上の人かもしれないですね。
次のバトンもお楽しみに!