タンチョウの頭のように赤い車が総合博物館に止まりました。ダッシュボードの上にはたくさんのツルグッズがあり、とても賑やかな車です。運転席から降りてきたのは文学研究科北方文化論研究室で、歴史鳥類学を研究している久井貴世さん。主に江戸時代のツルについて研究しています。
久井さんはタンチョウに関する卒論を書くことになった大学4年生の時から10年近くツルグッズをコレクションしています。この日、久井さんが博物館に持ってきた鶴に関する品々は、ギュウギュウに詰まった段ボール2箱と、大きな風呂敷包みにおよびました。これでも、全コレクションのうちの半分とちょっとだそうです。それでは、その秘蔵の品々を紹介していきましょう。
【小川恵子・社会人/2017年度CoSTEP受講生】
(ダッシュボードのツルたちはみな、運転席の久井さんの方を向いているようです)
いざ!拝見つかまツル!
年末年始は、久井さんによれば「ツル(グッズ)狩り」の時期だそうです。日本では、おめでたいものには、よくツルのモチーフがついていますね。
このマッチは、久井さん絶賛の一品。仕事が細かいところが「リアルにお気に入り」とのこと。箱には「人生のともしび つるマッチ」と書かれています。これは、もったいなくて火をつけることができなさそう。
久井さんがツルグッズをコレクションしていることは徐々に周りの人に知れ渡り、さまざまなツルグッズをプレゼントされるようになったそうです。長期間研究室を留守にした後には、机の上にツルグッズが集まっている、なんてことも。
(ツルって確か、木に止まれなかったような…!?詳しくは、9月10日のサイエンス・カフェ札幌で!)
こちらのポストカードは台湾から来ている留学生からのお土産です。久井さんの元には海外からもツルグッズが集まるようになりました。
(鶴模様の扇子。映し出された影にも鶴が舞っていて美しいですね)
(シューふれんど!?靴の友達=靴べらです。鶴の特徴である長い脚をモチーフに)
もちろん、久井さんはツルグッズをプレゼントされるばかりではなく、ご自身でも相当な数を買っています。「赤札(特価札)がついているツルグッズは、まず買います!」
(ずいぶん古い絵葉書。神社で鶴を飼っていた時代があったそうです)
(各駒に鳥の名前がついた将棋です。江戸時代に考案されました)
どれくらいのお金を収集に使ってきたかは、久井さんにもわからないそうです。「今までに費やした金額を計算するのはこわい…」とのこと。これが本当の「金ヅル」でしょうか…!?
久井さんとツルの品々、サイエンス・カフェ札幌へ!
最後は、久井さん自身が作られた一品です。箱から出された瞬間、その場にいた人たちからため息がもれました。私たちの誰もが馴染みの深い折り鶴がたくさん繋がっています。これは連鶴といい、たった1枚の和紙にたくさんの切り込みを入れて折られています。普通の紙だと何度も折りたたむうちにちぎれてしまうので丈夫な和紙を使って折るそうです。
折り鶴をはじめとして私たちの周りにはこんなにもツルの品々があふれていたのですね。久井さんがとても楽しそうにツルのお話をするので、不思議とお話を伺っているうちにどんどんツルのことが好きになったような…そして、「ツルグッズを見つけたら買わなきゃ…!」という気分になってきたような気がしました。
久井さんは「ツルと人との関係史」をテーマに、生態学、歴史学、そして考古学など、多角的な視点で研究を展開しています。9月10日(日)には、久井さんをゲストにお招きして「ツルと人との関係」についてのサイエンスカフェを開催します。みなさんのご来場をお待ちしています。
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第96回 サイエンス・カフェ札幌 鶴の今昔、拝見つかまツル!〜古文書から読み解くツルの生態〜
日時: 9月10日(日) 14:30~16:00(開場14:00)
場所: 紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン 北海道札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55 1F(011-231-2131)
ゲスト:久井 貴世 さん(北海道大学大学院文学研究科 専門研究員)
参加費:無料
定員: 約80名(申込不要)
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