平成23年4月に北海道大学附属図書館本館(南棟)の改修・新設工事が完了。約40万冊の製本済みの雑誌(学術研究誌など定期刊行物を数冊ごとにまとめて製本した本)を収納できる自動化書庫システムが設置され、運用がスタートしました。今まで職員の手作業によって行われていた膨大な図書の管理がほぼオートメーション化されたのです。
管理業務に携わる得能由貴さん(利用支援課・本館閲覧担当)に案内してもらいながら、自動化書庫システムについてお話をうかがいました。期待の新人として、昨年4月に配属されたばかりの得能さん。自動出納システムによって、利用者が求める一冊を、迅速にかつ的確に提供することで、サービスの向上を目指しています。
本館南棟の地上1階から地下2階まで、3フロア分の吹き抜けスペースがこの自動化書庫として利用されています。床部分が地下2階で、階高は地上1階部分の天井まで約9メートルですから、空間を効率よく使うことができます。そこに設置された、高さ6.7メートルの巨大なラックの中には約13,000個の樹脂製コンテナが置かれ、各コンテナの中に製本済みの雑誌が収納されています。
現在は約30万冊が収容されています。自動化書庫とつながる検索システムから出庫指示を出すと、約5分で雑誌の入ったコンテナが選び出され運ばれてきます。ラックのすき間を3台の「スタッカークレーン」と呼ばれる縦長の機械が動き回り、利用希望の雑誌が入ったコンテナの前まで移動します。そして、そのコンテナが取り出されると、コンベヤーに載せられて、貸し出しカウンターの脇にある出納ステーションまで送られるのです。そこで、カウンター職員がコンテナの中から目的の雑誌を取り出し、利用者に貸し出します。
自動化と並ぶこのシステムの長所は、雑誌を規則的に並べる必要がないことです。一つのコンテナには、雑誌がサイズ別にばらばらのまま入っています。雑誌を出し入れするときに、スーパーのレジのように表紙のラベル(バーコード)を読み取るだけでOK、タイトルごとに分ける必要はありません。どの雑誌の、どの年の巻が、どのコンテナに入っているかという情報が、コンピューターで管理されているからです。さらに同じ床面積の開架式書架と比較して約6倍の雑誌が収納できるといわれています。
また、一つのコンテナにきっちり詰めて収納すると、残りの空きスペースもコンピューターが管理します。例えば、厚さが20cm分の雑誌を収納したいときは、20cmの空きがあるコンテナを呼び出せばよいのです。収納効率は飛躍的に向上しました。
北海道大学ではこの自動化書庫を、製本した雑誌の管理に利用しています。雑誌のような定期刊行物は、今後も継続して購入され続け、どんどん増えていくことがわかっています。仮に、普通の書架に並べると、増えていく雑誌を本棚に並べきれなくなるだけでなく、タイトル順に発行順に並べ替えるという多大な労力が必要となります。しかし、自動化書庫ならどのコンテナのどこに入れても良いので、雑誌の厚みや並び順を気にしなくて済みます。
利用頻度が高い雑誌は、いくつかのコンテナにまとまる傾向があるそうです。雑誌をコンテナに返却するときに、よく出てくるコンテナに戻すので、必然的に利用頻度が高い雑誌がまとまって収納されていくからです。そのコンテナは、書庫の中で出納しやすいポジションに収まり、素早い取り出しにもつながります。
図書館の業務である学術情報の収集、保存、貸し出し業務を陰で支える、巨大システム。最新技術によって進化を続けながら、教職員や学生たちの研究・教育活動を支援しています。