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植栽は息災か?

中央食堂横の「オープンイノベーションハブ エンレイソウ」をご存じだろうか。2023年9月、旧ファカルティハウスエンレイソウがリニューアル、社会課題や地域課題の解決に向けた新たなアイディアを生み出す場、学生と企業・地方自治体を結ぶ出会いの場として、コワーキングスペースとして生まれ変わった。建物が竣工したのは、今から丁度30年前の1995年。学内の交流の場として、レストランやラウンジがあり、ちょっとしたギャラリースペースもあった。さて、建物は時代とともに変化したが、建物周辺の植栽はどのように変化したのだろうか。職業柄とても気になるのは、現在の植栽に難を感じているからだ。

【林忠⼀・北⽅⽣物圏フィールド科学センター/いいね!Hokudai特派員】

(オープンイノベーションハブ エンレイソウ)
(今年の前庭の様子。西日が差して明るく見えるが実際はうっそうとしている。)
(1995年の竣工時のエンレイソウ正面。 手前には左右オオモミジ、その後ろにハルニレとカツラがそれぞれ植栽された。写真では確認できないが、濃い緑はモンタナハイマツで、薄い緑は現存種からアジュガかリシマキアか? <北海道大学大学文書館提供>)
(竣工当時ロビーからの眺め。中庭は水盤仕様で植えこみ枡にはオオモミジが使われていた。 その奥には4つのスツールを挟んで2本のヤマボウシが。 <北海道大学大学文書館提供>)
(現在コワーキングスペースとなった旧ロビーからの眺め。多分藻が発生して管理に困ったのだろうか。水盤がパティオに。 オオモミジは枯れたのか植え込みがモンタナハイマツに変わっている。左のヤマボウシは枯れたようだ。 )

 

30年の月日の重さが感じられるだろうか。メインストリートからエントランスまでの道は暗く、日陰で徒長したモンタナハイマツによって見通しがきかず何とも陰気に感じる。隣の「人工雪誕生の地」の碑も自然実生の3本のクワとハルニレに覆われて、その存在が霞んでいる。

植栽した樹木が大きくなり日陰によって下草類が影響を受けるのは仕方がないが、植栽管理とはそこも含めて考えなければならない。費用をかけて作った建物も、適切なメンテナンスを行わなければ劣化する。植栽も同様。樹木はが大きく育つことが良いことのように思えるが、一定の大きさ以上になれば剪定などの管理が必要となる。それを放置すると植栽は劣化し、いよいよ対処が必要となったときには大変な負担を強いられることになる。

しかし、樹木の生長は緩慢でつい見過ごしてしまいがちだ。何故なら管理者の事務職員は3年程度で異動してしまううえ、緑の質まで考える余裕がないのだろう。緑豊かなキャンパスも、よく見れば外来種や異常に増殖する樹種など、本来そこに生えては困るものが混じっている。雑草は刈るが雑木はなぜか放置してしまう。木を切ることがいけないというマインドがどこかにあるようだ。また財産として登録しなくてはいけないサイズにまで育つと、登録されることによって今度は切る手続きが面倒になってくる。包括的な緑の管理方法の確立が必要だろう。エルムの森と言われるキャンパスは、大自然の森林ではなく、その多くは人の生活圏として管理されるべき緑地であり、その特性に合わせた管理が必要となる。

(伸びたハイモンタナマツを除去した状態。吹き溜まった落ち葉が土壌化しマツの根や草本類が生えている。 )
(除草し土壌を取り除けば本来の縁石が現れた。湿った舗装部分まで植物と土壌が侵出していた。)

とは言ってもそれを待ってる間にも樹木は育ち、その分剪定や伐採作業の負荷が大きくなる。だったら何時やるの?今でしょ!

というわけで立ち上がったのがエンレイソウ園芸部なるボランティア組織だ。

今のところ不定期に作業は行われているが、その時間は毎回おおむね1時間程度だ。今は除草・除木が中心だが、何れは植栽計画など立て、現在の環境に合ったそして北大キャンパスにふさわしい植物を植えていきたい。園芸部には本学のキャンパスマスタープランにかかわる農学部の愛甲哲也さんや、サステイナビリティ推進機構の北岡真吾さんも参画し、一緒になって作業をおこなっている。

先細る大学の研究・教育予算。このような環境整備にかける予算はわずかだ。それでも自分たちの過ごすキャンパスの緑の質を上げていくには、自分たちで行動するしかない。なによりここは大学と企業・地方自治体を結ぶ出会いの場、いわば北大のひとつの顔でもある。その場所が荒れてうらぶれた場所だなんて、ちょっともったいなくはないだろうか?

 

そんなわけで、エンレイソウ園芸部部員募集中です!

 

こちらの記事も、併せてご覧ください。

 【チェックイン】#205 「内と外」をつなぐ場として、オープンイノベーションハブ「エンレイソウ」完成。(2023年9月29日)

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2025.06.20

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