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#16 いたるところで地面から伸びている、あの設備 〜知っておきたい、この「気になる!」〜

今月21日から続く栃木県足利市の大規模火災、23日〜24日にかけて発生した東京都青海市の大規模火災で被害を受けられている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。消火活動に関わる方々のご無事と、早期の鎮火を願うばかりです。

一度勢いづくと手がつけられなくなり、大きな被害をもたらしうる―― テレビで連日流れる映像からはそんな火の怖さを改めて考えさせられました。「いくら注意していてもいつ起きるかわからない火災に対して、自分はきちんと備えられているのだろうか?」 そんな想いから、今回の記事では、北海道大学札幌キャンパス内のいたるところにあるこちらの設備について少し深堀りします。

(埋蔵文化財調査センター前にある消火栓(2020年11月11日撮影))

消防水利(火災時の消火活動に必要な水の供給設備)の1つ、消火栓です1)。

「火災を扱うのであれば、他にもテーマがあるのでは?」と感じた方もいるかもしれませんね。ですが、北海道生活1年目の筆者にとっては、いざというときのためにも知っておきたい、気になるポイントが盛り沢山の設備なのです。ということで、特に気になっていた3点を施設部に伺いました。

知っておきたい、この「気になる!」① 〜地面から伸びる消火栓〜

ずっと関東の特定の地域で暮らしていた筆者にとって、「消火栓」といえば地下式のものが当たり前でした。

(左上、右上、左下のものは東京都、右下のものは愛知県の豊川稲荷近くで見つけた地下式消火栓。写真はいずれも筆者撮影。)

しかし、北海道に来て初めて目にした消火栓は、どれも地面から伸びていました。うすうす気付いていたその理由も、季節が変わって一目瞭然に。

(冒頭で紹介した消火栓の冬の様子(2021年2月17日撮影))

札幌のひと冬の降雪量は平均で約6メートル2)。確かに、地下式消火栓では、積雪時の対応は難しそう。施設部によると、「札幌キャンパス屋外消火栓はすべて地上式を採用している」とのこと。住宅の暖房器具の違いのように、住む場所が変わればこういった設備も変わるのですね。

知っておきたい、この「気になる!」② 〜支柱がグニャリ〜

次に紹介するのはこちらの写真。よく見ると、標識の支柱が途中で曲がっています。もちろん、誰かに蹴られたりして曲がっているわけではありません。みなさんは、なんでこんな形をしていると思いますか?

(銀杏並木横の消火栓(2020年11月11日撮影))

この答えは、「バルブを開く時に邪魔になるから」とのこと。

ホースを繋いだだけでは消火栓から水は出ません。消火栓のてっぺんにあるバルブを、レンチで回して開く必要があるようです3)。回すタイプのハンドルがついた蛇口をイメージしていただければイメージしやすいかと思います。レンチをクルクルと回す際、近くの支柱が真っ直ぐに伸びていると確かに邪魔そうですね。

知っておきたい、この「気になる!」③ 〜あれ?こんな色だった?〜

「ここにも!グニャリと曲がった支柱が!」と、別の場所の消火栓を見てみると、黄色ではなく赤色ではありませんか。これは一体なぜでしょう? 配水系統の違いが一眼でわかるように消火栓の色分けを行なっている、小樽市の取り組み4)などもあるようですが……

(北部食堂付近の消火栓(2020年11月11日撮影))

北大の場合は、「水の供給元などの区別を見える化するため」とのことです。

黄色も赤色も大学によって設置された消火栓という点では変わりません。黄色の消火栓は、よく見ると札幌市のマークがついているのが特徴。市水直結で、消防隊がホースをつないでバルブを開ければすぐ使用できるそうです(ちなみに、札幌キャンパスには全部で23か所あるそう)。一方で、赤色の消火栓は消火水槽から水を供給する仕組みになっています。最寄りの消火ホースをつなぎ、起動ボタンでポンプを動かすと水が出ます。言われてみれば、ホースの格納箱が近くにありますね。北大内で過ごす時間の多い人は、初期消火5)の対応が必要な時のために、身の回りにある消火器の種類や場所といった情報に加えて赤色の消火栓の場所も覚えておくとより良さそうです(※)。また、施設部からは、「消火栓付近に駐輪・駐車をしない各人の意識や、除雪をするという管理部局の意識を日頃から大切にして欲しいという」というコメントがありました。

※ 適切な初期消火は重要ですが、決して無理はせず、ご自身や周りの人の命を大切にしてください。例えば、一般的に消火器での初期消火は天井に火が回るまでが限度のようです。筆者と同じく「どこかで聞いたような……」という方は、記事末の参考5)をご覧ください。


(医学部前の消火栓(2021年2月8日撮影)。いざという時に使えないということがあってはならない設備なので、周りはきちんと除雪されています。黄色の消火栓については、除雪は施設部職員が担当しているとのこと。赤色の消火栓の除雪は、消火栓が設置されている敷地管理部局が行っているそうです。)

気になる点はまだ尽きませんが、今回はここまで。身近にある消火栓という設備を少し掘り下げてみた本記事、いかがでしたか?

「この設備ってなんだろう?」「どういう機能で、どうやって使うんだろう?」「なんでこんな形をしているんだろう」―― そんなふとした「気になる!」をきっかけに親しみを持つことは、設備を守り、設備に守られるためには大切なのかもしれません。

【梶井宏樹・CoSTEP 博士研究員】

注・参考、取材協力:

1) 消防水利の基準(総務省消防庁)
2) 札幌市の降雪量について(札幌市公式サイトより)
3) 地上式消火栓の使い方の例
初期消火を学べる「消火栓の取り扱い方法」(飛騨市消防本部)
4) 小樽市や函館市の消火栓の事情。その地域の歴史だけでなく、同じことを繰り返さないという意思を感じます。
・小樽市の消火栓について(小樽市HP)
・函館の消火栓(函館市HP)
5) 初期消火について(総務省消防庁 防災・危機管理eカレッジ)

取材協力:施設部環境配慮促進課 機械保全担当

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Update

2021.02.26

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