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実験材料は自分で捕る[FSC的フィールド風景 番外編2]

道東、標津の早朝。関恭佑さん(環境科学院 生物圏科学専攻 博士2年)の研究で用いるためのニシン漁が行われるとのことで、いいね特派員も乗船させてもらった。船は地元漁師の方にご協力をいただいている。漁は一昨日から行われていたが、昨年は1回で数トンの水揚げがあったというのに、今年は今のところ数十キロしかないという。目標は1,000尾の成熟したニシンの雌と雄、500尾ずつ。少しでも多くの魚が網にかかるのを期待して挑む、3日目の漁である。

船は沖合い1kmほどに碇をおろし、漁が始まった。乗員総出で網をひき、かかった魚たちを生け簀に移す。さらに揺れる船上で、成熟したニシンの雌雄を短時間でより分けていく。過酷な作業だ。しかし、残念ながらこの日も予定していた数量には届かなかった。

もう1日漁に出て数を稼ぐことも検討されたが、既に捕獲したニシンを活魚運搬車で1日多く過ごさせて弱らせてしまうより、予定より少なくともできるだけ健全なまま短時間のうちに運搬し、大型水槽に移す方が良いであろうとの判断から、漁は打ち切られた。この辺の判断も自然相手の学問には悩ましいものだ。

こうして捕獲されたニシンは活魚運搬車で一路函館へ向かった。およそ10時間をかけて到着した後は、函館で待っている研究室の仲間が大型水槽に移してくれていることだろう。大型水槽とは、先回のFSC的フィールド風景でも紹介した函館市国際水産・海洋総合研究センターの大型水槽である。

その水槽ではニシン特有の行動を明らかにするための研究がおこなわれる。ニシンは雌雄一斉に放精・放卵をする集団産卵を行う。そのため海は白く濁るほどである。群来(くき)と呼ばれるその集団産卵の同調性を明らかにするために、群来を水槽内で再現しようというのだ。

この捕獲・研究は、標津というフィールド、地元漁師の方々、函館市のセンターの施設という協力があってはじめて可能になっている。自前のフィールドや施設、職員だけでは対応できないことだってあるFSCとはField Science Center for Northern Biosphere, Hokkaido University、北方生物圏フィールド科学センターの略称である。

【林忠⼀・北⽅⽣物圏フィールド科学センター/いいね!Hokudai特派員】

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2024.04.30

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