北大周辺の飲食店を、北大とのかかわりをまじえて紹介する本企画!今回はお好み焼きが食べられる「南路屋」です。
扉をあけると「こんばんはー。」と何とも言えない落ち着く声で出迎えてくれたのは、北大生から「マスター」と呼ばれる南路屋の店長。店内には、空腹を刺激する香ばしいお好み焼きの香りと食欲をそそるソースの香りが漂います。カウンター席のみが並び、隣の席との距離が近い店内は、どこか懐かしい、ほっとする雰囲気を漂わせていいました。
壁にびっしり、見事な落書き
店内に入り、まず目に飛び込んできたのは壁中に書かれた落書き。これまで来店した北大生をはじめとするお客さんが書き残していったものです。初めて「落書き」を書いたのは、1994年北海道大学卒業のライフル射撃部の金井さん。それは、今から21年前、入り口の扉を空けて左手の壁からスタートしました。以降、南路屋に訪れた人が思いおもいに好きなことを書いてきました。マスターへの感謝の気持ちを書いたもの、関西人だがこんなにおいしいお好み焼きを食べた事がないと主張するもの、大学生活の思い出を書いたもの、壁を眺めているだけで何時間も経ってしまいます。特に、卒業間際になった北大生が残したメッセージ、南路屋と別れる寂しさを書いたものが多く目につきました。落書きの第一筆目を書いた金井さんも、まさか、壁がこんなになるなんて思いもよらなかったでしょうね。
(21年前に初めて書かれた壁の「落書き」を指さすマスター)
目を疑うほど大きなオリジナルお好み焼き
手際よく具材を焼き上げ、リズミカルに卵を割って、目の前で瞬く間にお好み焼きが焼き上がります。「アマチュアとプロの違いはね、難しくないことをいかに難しく見せられるかだからね!」ハハハハハ!と笑い飛ばす姿に、鉄板を挟んで座っているこちらまで笑顔になってしまします。
(4つの卵が瞬く間に割れました。)
学生たちにお腹いっぱい食べてほしいと、お好み焼きのサイズは4段階。普通<大盛り<ジャンボ前<ジャンボ。写真で並べてみると、ジャンボサイズの体積がいかに大きいかが一目瞭然ですね。たくさんの部活生、サークル生が来るそうです。特によく来て、よく食べるのは、北大応援団、恵迪寮生、アメフト部、ラグビー部、サッカー部、そして躰道部です。
(左から順に、ジャンボ>ジャンボ前>大盛り>普通サイズです。)
学生に人気、ジャンボブリックス
お腹をすかせた学生達に人気のメニューは、なんといってもブリックス(お好み焼きの名前)。しかも"ジャンボ"サイズ!焼きそばの麺が4玉入ったモダン焼きにチーズが入り、口の中でゆっくりとチーズがとろけます。ところで、この「ブリックス」とは何の名称なのでしょうか。なんと、北大の英語教員の名前「ブリック」から名付けられたそうです。英語教員の方が、ある時「モダン焼きにチーズを入れてほしい」と言ったことがきっかけだそうで、その教員が日本を去る記念にと「ブリックス」と名づけました。しかし、話はこれでは終わりません。名付け親となられた方、日本を去らずに、今も北大で教鞭をとられているそうです。多くの学生に愛される「ブリックス」はこうして生まれました。
なんと言っても特性マヨネーズ
開店して1年目の頃、当時マヨネーズを購入していたお店から、気に入っていた味のマヨネーズが手に入らなくなりました。これをきっかけに自分でマヨネーズをつくりはじめたそうです。今では、壁の落書きに「マスターのマヨネーズは最高です」と書くほどのファンがいるくらい人気の味。南路屋ファンのみなさん、特性マヨネーズが生まれてよかったですね。
(南路屋オリジナルマヨネーズ)
北大生は20年前と今で変わりましたか
「うーん。そんなに変わらないなぁ。」と答え、少し考えてから「あ、北大生、おしゃれになったね。うん。」そう言ってハハハハと思いっきり笑うマスター。「昔は、(年をとって見えて)20歳に見えない学生もいたけれど、今はみんなおしゃれだね。あと、年々留学生が増えてきた。」とのこと。時代が変わっても北大生に愛され続けるお好み焼き。今では留学生からも国境を越えて愛されています。一人で来る学生も多く、マスターと一緒にたわいもない会話を楽しみます。スポーツの話、最近読んだ本、部活の失敗、大学の悩み…。長い間、学生の胃袋を満たし、その成長を見守り続ける南路屋は、北大生を育ててきたの恩師の一人かもしれませんね。
「ソース・マヨネーズが足りなかったら言ってください。」南路屋で、この一言が聞きたくて、今日も北大生は南路屋に向かいます。
(学生であふれる南路屋の外観)
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南路屋(なんじや)
札幌市北区北19条西3丁目3-2-17
TEL/FAX:011-737-7747
営業時間:平日 16:00~22:30
土日、祝日 11:30~22:30
定休日 :水曜日
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