AI(人工知能)の言葉をメディアで見ない日はありません。このAIの進歩を支える基礎技術の一つに機械学習があります。瀧川一学さん(情報科学研究科 准教授)は機械学習やデータ解析、そして機械学習の科学研究での利活用について専門に研究を行っています。その瀧川さんをゲストにお招きするサイエンス・カフェ札幌「見えるものを見るAI 見たいものを見る人間 ~機械に「正しく」学習させるには~」が10月1日に開催されます。打ち合わせの様子を取材しました。いったいどのようなカフェになるのでしょうか。
【木下紀子・2017年度CoSTEP受講生/社会人】
機械学習ってなに?
機械学習は、AI(人工知能)に比べてまだ聞きなれない言葉かもしれませんが、AIの基礎技術にあたります。ここ数年で、AIは、医療、音声や画像認識、将棋や囲碁、人事管理やロボットなどさまざまな先端情報技術の分野で使われるようになってきました。現在のAIの進歩を担っているもの。それがAIの基盤となる機械学習の発展なのです。
機械学習を一言で説明すると「大量の入出力の見本からコンピュータプログラムを自動的に作る技術」です。例えば「ある日の札幌の天気図」と「その翌日の札幌の天気」について、10年間分の記録が残されていたとします。10年間の「札幌の天気図」と「札幌の天気」の記録が「見本」にあたります。機械学習は、二つの記録の間にあるパタン(法則性)を、機械自身が「学習」して見つけ出すことで、「今日の札幌の天気図」から「明日の札幌の天気」予想するコンピュータプログラムを、自動的に作り出す技術である…。そんな風に、私は機会学習について、瀧川さんのお話しを聞きながら考えを巡らせました。
大量の見本となるデータから結果を予測するプログラムを作り出す技術である機械学習は、気象予測だけではなく、検索エンジンや、自動翻訳にも使われています。機械学習は、今後の発展が期待される、これからも目が離せない技術のようです。携帯電話が登場して人々のライフスタイルが変わったように、機械学習の登場は今後私たちの生活をどのように変えていくのでしょうか。
データの重要性
機械学習に欠かせない見本=データの重要性についても、瀧川さんからお話しをうかがいました。機械学習による予測の精度・信頼性は、データの内容・質・量に依ります。機械に学ばせるデータを選ぶのは人間です。人間は自分の関心・知識がある事に目が行きがちになります。その結果、機械学習のために入力するデータに偏りが生じてしまったら…。実は、AIについて考える際には「データの扱い」についても視野を広げる必要があるように感じました。
瀧川さんのお話しを聞くことで、AIの技術の応用を支えるデータ処理や基盤技術の機械学習など、基礎研究の重要性にも改めて気がつくことができました。
最後に瀧川さんと受講生一同で記念写真を撮り、カフェの打ち合わせは終了しました。
カフェ準備の取材のためとはいえ、ポラスのクラシカルな雰囲気の中で、先端情報技術を専門家から直接聴けるとは…なんとも贅沢な空間と時間でした。このワクワクをカフェ当日にお届けできるように、まだまだ準備を進めていくようです。 当日は、一緒にAIと人間が共生する未来について考えませんか。
第97回サイエンス・カフェ札幌「見えるものを見るAI 見たいものを見る人間〜機械に「正しく」学習させるには〜」
●日 時 : 2017年10月1日(日)14:30~16:00(開場14:00)
●場 所 : 紀伊國屋書店札幌本店 1F インナーガーデン(札幌市中央区北5条西5-7 sapporo55 1F)
●ゲスト : 瀧川一学さん(北海道大学大学院 情報科学研究科 准教授)
●聞き手 : CoSTEP対話の場の創造実習 受講生
●参加費 : 無料
●定 員 : 80名
●主 催 : 北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP・コーステップ)
●共 催 : 第6回生命医薬情報学連合大会(IIBMP 2017)
●WEB :http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/1675/
みなさまのご来場をお待ちしております。