今年の北海道は記録的な暑さに見舞われ、7月29日から8月7日まで10日連続の真夏日となりました。札幌では68年振りの記録です。また、7月30日から8月1日は、統計を取り始めた1961年以降初めて3日連続の熱帯夜となるなど、記録ずくめの年となりました。本州に暮らす方からすればまだまだと思われるかもしれませんが、道産子には実に厳しい夏になりました。
8月8日には温帯低気圧に変わった台風8号の影響で、暑さも一段落つきました。しかし、この暑さは農場で飼育している乳牛にも影響を与えました。
(降水量が少ないため、蹄も見えるほどに牧草の伸びが少なく、餌も不足気味です)
北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場の牛舎では、搾乳対象として21頭の乳牛を飼育し、毎日朝夕2回搾乳しています。7月1日からの乳量と気温の変化を比較すると、気温の上昇に反比例するように乳量が落ちていました。一頭あたり約29リットルから約26リットルへの大幅な減少です。夏バテするほど、乳牛にもこたえた暑さだったようです。
(7月1日から8月7日までの、一頭あたりの平均乳量と気温を示したグラフ。気温データは札幌管区気象台より)
また、追い打ちをかけるように7月の降水量は31.5mmと、過去10年の平均108.6mmの三分の一以下でした。この雨不足が牧草の伸びの悪さをもたらし、さらに牛の栄養不足を招いたことも乳量低下に複合的に影響しているようです。
(暑さでぐったりしている様子の牛たち。十分な牧草がないため、試験対象外の牛は牛舎内で干し草を食べています)
暑さ寒さは彼岸までと言いますが、北海道ではお盆が過ぎたらもう秋です。涼しくなって乳量が回復してくれことを期待しましょう。
(ヒツジも日陰に隠れて暑さを凌いでいますが、頭隠して尻隠さず)
【林忠⼀・北⽅⽣物圏フィールド科学センター/いいね!Hokudai特派員】