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#39 研究成果を保管し社会に還元するHUSCAP(ハスカップ)

北海道大学 学術成果コレクション「HUSCAP(ハスカップ)」について、担当の松尾 真木子さんに伺いました。聞き手は杉山 滋郎さん(理学研究院 教授)です。

————————————-

杉山:HUSCAPとは、どんなものなのでしょうか。

松尾:大学に所属する研究者に論文などの研究成果の電子ファイルを提供していただき、それを保存・管理して、ウェブで無料公開するシステムです。学術雑誌に載った論文や、学会で発表した資料などを、その場だけで終わらせず、きちんとした形で整理・保存することができます。また、無料で公開しますので、ウェブを通じて広く社会へ還元することができます。

杉山:学術雑誌で発表した論文や、学会で発表した資料だけでしょうか。

松尾:ほかにも会議資料や研究室のホームページで公開している資料、著書や電子書籍なども公開することができます。自分で管理する手間も省けますし、図書館で大切に保管して後世に残します。広く公開できるので、ぜひ活用してもらいたいと思っています。

杉山:普通、論文などの研究成果の著作権は、学会や出版社が持っているのではありませんか。

松尾:「この研究成果を公開したい」と依頼があった場合、公開できるかどうか出版社へ確認します。その作業は私たち、図書館のスタッフが行います。電子書籍や著書については公開が認められないこともありますが、論文などの学術的な成果の多くは公開することができます。出版社の持つデータではなく、著者が出版社へ送った「著者版」と呼ばれる原稿ファイルの公開が認められる場合が多いのです。数日で公開できることもありますよ。

杉山:それはありがたいですね。どのぐらいの人が利用しているのでしょうか。

松尾:積極的に活用している方もいますが、利用していない研究者もまだ多いです。そこで、私たちでも営業や広報活動に力を入れています。「機関リポジトリ」は、全国で200以上の機関が導入していますし、大学だけでなく国の研究所や民間企業の研究所などでも行い始めています。海外では登録の義務化が進んでいますが、日本のほとんどの機関では義務化するまでには至っていません。ただ、今年四月に規則が改正され、北大を含むほとんどの大学で、今年度から博士号の学位論文を機関リポジトリで公開することになりました。ですから、今後は多くの研究者が利用することになるのでは、と期待しています。

杉山:研究者が利用した場合、どんなメリットがあるのでしょうか。

松尾:電子ジャーナルに掲載された論文をHUSCAPで公開する場合、HUSCAPでは元の電子ジャーナルにもリンクしています。なので、HUSCAPでの公開が、元の論文にアクセスするきっかけとなり、論文が他の研究者に引用されることにもつながると期待しています。また、HUSCAPを通じて論文を読んだり、ダウンロードした人数をお知らせするサービスも提供しています。さらに、北大では多くの学術雑誌を学内で無料で読めるように購読契約していますが、世界中どこでもこのような研究環境が整っているわけではありません。関連する研究者に広く自らの研究をプロモーションするという面で、とても効果があると思います。実際に、HUSCAPでの公開をきっかけに海外の研究者から連絡があった、という話もあるのですよ。

杉山:いいですね、僕の論文も登録しようかな。

松尾:ぜひご連絡ください。北大の研究者であれば、HUSCAPのウェブサイトから簡単に申し込みすることができます。より多くの方に、研究成果を公開する手段として活用していただきたいです。これからの図書館には、「本」という形以外の知財を整理・保管・活用する役割も課せられてきていると思います。HUSCAPのような取り組みについて研究者に広く知っていただき、北大の研究を社会に還元するお手伝いができれば、と思っています。

HUSCAP(北海道大学学術成果コレクション)はコチラ↓

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/

たとえば、ノーベル賞を受賞した鈴木章先生の論文は、こちらから読むことができます↓

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/feature/suzuki.jsp

—————————————-

***取材後記***

近年、学術雑誌は電子ジャーナル化し、ウェブを通じて閲覧したりダウンロードできるようになってきています。しかし、同時に学術雑誌の価格が高騰し、高いお金を払わないと、ウェブ上でも論文を読めなくなってきているのです。そこで、このような経済的な障壁を取り除き、学術論文をだれもが無料でウェブ上で見られるような環境を作ろうという活動(オープンアクセス運動)が、全世界で行われています。HUSCAPのような取り組みが、これからの研究環境を整えていくんですね。

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2013.06.27

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