研究林長の揚妻直樹さんに案内していただきます。
(本館の玄関にて。木肌を活かした内装になっています。飾ってあるポスターは、和歌山研究林が「山火事注意」のポスターを地元の中学生に募ったときの作品。この中から1枚を選んで印刷し、北海道を含む北大研究林が所在する地域の関係機関に配布、掲示されました。)
北海道で学ぶ北大生も、研究林を利用していますか
一昨年から、学部をとわず1年生を対象にした「フレッシュマン実習」を、和歌山大学と合同で2月に実施しています。
費用は自己負担ですが、関西空港までLCCの便ができたこともあり、今年は、帰省するついでに、あるいは関西の友達を訪問するのを兼ねてなどの形で、経済学部や教育学部など文系の学生も含め14名の学生が参加してくれました。
5日間にわたって、照葉樹天然林や野生動物の観察、炭焼きや、シイタケ菌うち、薪割り、モノレール試乗体験、源流から河口までの古座川流域観察を行なうほか、教員の研究紹介もあります。
(炭焼窯)
農学部森林科学科の学生には「施業実習」をここでやっています。スギ・ヒノキの植栽や除伐、枝打ち、防護柵設置、樹種同定などを含む、もっと本格的なものです。大学院生も、自分の研究のために利用することがあります。
(講義室。床にはスダジイ(シイ)の床材が使われています。)
宿泊は?
実習などの教育や、調査研究のために訪れた方は宿泊室を利用することができます。35畳敷きの大部屋のほか、和室が4部屋あります。自炊しながら長期間にわたって滞在する方のために、3Kの宿泊施設も2棟あります。
(本館1階にある厨房)
食事も、大学規定の料金で提供します。職員の寺本のり子さんが中心になり、人数が多い時は近所の人の手も借りて、地元の食材を活かしたおいしい料理を作ってくれます。
(ある日の夕食です。刺身のキビナゴ、マグロ、カツオは南紀の海で獲れたもの。山菜はイタドリに、フキとワラビ。寿司はサンマ寿司とめはり寿司。サンマの開き方には腹開きと背開きがあり、一説では武士出身の人たちは、腹開きは切腹を連想させるので嫌うそうですが、南北朝の落武者が開いた平井集落では腹開きをします。ちなみに、食べておいしいのは腹開きだと言われています。梅干しは、もちろん自家製です。)
宿泊施設もある研究林本館、ずいぶんモダンですね
本館は、木造2階建ての建物と、奥にある平屋の建物が、h字型に結ばれた配置をとっています。その2階建て部分が、この3月に、国の登録有形文化財(建造物)に指定されました。
北海道帝国大学の営繕課が設計し、1927年に建てられたものです。両翼部の三角屋根を強調し、外壁に下見板を張るなどした、洋風の建築です。1995年に改修されましたが、扉や玄関の階段部分などには完成当時の様子が残っています。
(「下見板」とは、壁に横板を少しずつ重なり合うように取り付けるもので、明治のはじめにアメリカからもたらされた技法です。札幌の時計台にも用いられています。)
改修にあたっては、研究林の間伐材などを活用しています。浴槽も、コウヤマキ(高野槙)という、水に強くて朽ちにくいことで重用される木材で作っています。
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