星出彰彦さんが宇宙ステーションに長期滞在し、無重力のもとでの科学実験や小型衛星の発射など、活躍しています。
そんな折、史上初の宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリンが宇宙から帰還したときのソ連の新聞「プラウダ」(共産党の機関誌)が、附属図書館に保存されていると聞きました。
北海道大学の附属図書館には、本館だけで約160万冊もの本が収蔵されています(大学全体では約380万冊)。でもその多くは、ふだん目にすることのない「書庫」に収められています。めざす「プラウダ」も、書庫の中。
古い新聞ばかりが収納されている部屋に入ると…。
ありました!
茶色く、ざらざらした紙で、丁寧に扱わないと破れてしまいそう。
ガガーリンが乗った宇宙船「ヴォストーク」が打ち上げられたのは、1961年4月12日。この日から連日、写真や挿絵の入ったページが続いています。
数日後の新聞には、こんな漫画が載っています。
当時は、東西冷戦の真っ最中。世界ではじめて有人飛行を成功させたソ連は、西側諸国の鼻をへし折ったと、意気揚々だったんですね。
これを遡ること、3年余り。1957年10月の「プラウダ」には、こんな写真がありました。ソ連が世界ではじめて打ち上げに成功した人工衛星「スプートニク」です。
アメリカは、ソ連のこの成功に大きなショックを受けました。科学技術の研究や教育に力を入れ、軍事力での優位を取り戻そうと躍起になります。世に言われる「スプートニク・ショック」です。
このころの日本の新聞も覗いてみました。すると「朝日新聞」の、読者が投稿するミニコラム欄に、こんなのがありました。
「スプートニク」(米国民)
「スープとニク」(ソ連人民)
ソ連に出し抜かれてあたふたするアメリカと、国民の食糧事情そっちのけで宇宙開発に邁進するソ連を風刺したものです。
時代の雰囲気が伝わってきます。
図書館には、歴史が詰まっているんですね。