かき揚げと桜漬けでさらさらおいしい天茶漬けです。小エビと青菜の薬味がアクセントとなって大満足の一品。熱いだし汁がカラダを暖めてくれますよ。学食の初冬メニューとして登場しました。(367円)
美食家、北大路魯山人によると「てんぷらは揚げたてでもよいが、古い天ぷらの利用にある」のだそうです。
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てんぷらの茶漬け
てんぷらの茶漬けは油っ濃いもので、油っ濃いものの好きな方に好かれるのは無論である。
揚げたてのてんぷらを茶漬けにするのはもとより差支えないが、本来、てんぷらの茶漬けは古いてんぷらの利用にある。昨日の残りのてんぷらだとか、一旦、冷え切ったものを生かして食う食い方である。それにはまず火鉢に網を載せ、一旦、てんぷらを火にかける。いくぶん焦げができるくらいに火をあてる。それを熱い飯の上に載せ、塩を適宜にかけるのである。
前にまぐろの茶漬けで話したように、濃い目の熱いお茶をかける。御飯の量は、みずからの腹具合に相談して、盛ったらよい。ただ、ここに注意すべきは、てんぷらの茶漬けは甘いものを嫌うが故に、てんぷらのつゆをかけてはならぬ。必ず生醤油か、塩をかけるべきである。
大根おろしは新鮮なものほどよく、辛い大根があれば、なおさら具合がいい。要するに、てんぷらの茶漬けは、残ったてんぷらを生かして食べる方法である。焙るため油がこなれ、香ばしくて、意外に美味しいものである。材料になるてんぷらが、良質のものでなければ、美味しくならないことは言うまでもない。(昭和九年)
(中公文庫「魯山人味道」所収/青空文庫より)