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#53 気仙沼のヨシキリザメ漁復興に向けての挑戦 〜複雑に絡み合った問題を科学的証拠でときほぐす~

海洋化学を学んだ後、資源経済学を学んだ石村学志さん(北海道大学 サステイナビリティ学教育研究センター 研究員)。それらのバックグラウンドを総動員して、ヨシキリザメ漁の復興を支援しています。2011年の東日本大震災により大きな被害を受けて、漁を継続できなくなった気仙沼。その渦中に身を投じる熱い思いをお話いただきました。

気仙沼のヨシキリザメ漁獲

フカヒレのスープ。飲んだことがなくても、ほとんどの人は知っているのでないでしょうか。その原料はヨシキリザメで、日本での漁獲量はほとんどが気仙沼に集中しています。気仙沼のヨシキリザメ漁獲は、フカヒレ、練り物などの食用からコラーゲン、バックなどの高度加工品にまで多岐にわたり利用していることが特徴です。世界で唯一、鮫のほとんどの部位を利用する高度な利用加工を行っているのです。

しかし、気仙沼は2011年の東日本大震災により大きな被害を受け、ヨシキリザメの漁を継続できなくなってしまいました。それから復興へ向けての長い道のりが始まったのですが、その間に市場では代替品が流通し、フカヒレへのニーズが縮小してしまいました。それに加えて「サメ漁は残酷な行為である」として、海外の環境団体などの激しい抗議運動の標的になってしまったのです。

見いだしたひとすじの光明、「MSC認証」

このような困難を抱えながらも、見いだしたひとすじの光明が、「MSC認証」です。この認証は、環境に配慮した持続可能な漁業であることの証明であり、「海のエコラベル」とも言われるものです。この国際認証を取得することができれば、環境団体が漁の継続を認めてくれる可能性が高まるのです。もちろん、そのためには厳しい基準を一つ一つクリアしていかなければなりません。

持続可能な漁業とは

「サステイナビリティ学」という言葉をご存知でしょうか。これは、気候変動や生物多様性・生態系サービスの劣化など、世界が抱える複雑で長期的な問題に対して、俯瞰的・統合的アプローチで取り組み、人間活動と自然環境が調和した持続型社会の構築を目指す新しい学術体系です。「持続可能な漁業」であることは、サステイナビリティ学にとって重要なポイントです。

「MSC認証」を取得して、持続可能な漁業であることを証明する

相手の主張を無視したり、それに感情的に抗議したりするのではなく、反対する相手に堂々と向き合う。そして、相手が求めている価値の本質を見極める。そして、それを満たすような回答を環境に配慮した持続可能な漁業であることの証明である「MSC認証の取得」という形できちんと用意することで納得してもらおうという、正攻法にこだわっています。そのために最も重要になるのが、科学的根拠、エビデンスなのです。

誰もが共有できる「エビデンス」を確立し、それを足がかりに誰もが納得でき、共存できる未来を作りだしていくために石村学志さんは、大学での研究者と、気仙沼や国際舞台での実践者という、二つの役割を同時に果たしているのです。

私たちの身の回りに密接に結びつく問題

このヨシキリザメの問題は、一見とても特殊で、みなさんに直接関係の無い問題に思えるかもしれません。しかし、実は、国境をまたいだ資源管理、第一次産業の持続可能性、食文化や価値観、動物に対する倫理観の多様性、「地域の復興」と「地域の産業の復興」との関係など、私たちの身の回りの様々なことがらに密接に結びつく要素がたくさんつまっているのです。自分ごととして、この課題について一緒に考えていきませんか。

—————————

石村さんをゲストに招いたサイエンス・カフェ札幌「フカヒレ、いかがですか? ~気仙沼のヨシキリザメ漁をとりまく科学・経済・価値観~」が12月14日(日)16時より紀伊國屋書店札幌本店前で開催されます。

日 時:2014年12月14日(日)16:00〜17:30(開場15:30)

場 所:紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン

ゲスト:石村学志さん(北海道大学 サステイナビリティ学教育研究センター 研究員/資源経済学)

聞き手:石村源生(CoSTEP)

参加費:無料。当日会場にお越しください。

主催: 北海道大学CoSTEP

詳しくはこちら

http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/1264/

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Update

2014.12.11

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