いよいよ今週末に迫った北大の夏のイベント、「北大マルシェ」。23日と24日の10時から16時まで、農学部前がにぎやかな市場になります。16名の学生実行委員と共に奮闘する委員長の若林諒さん(農学院1年)に、今年の企画やねらいについて聞きました。
今年もマルシェの季節がやってきましたね
今年で「北大マルシェ」は5回目になりました。毎年、実行委員が議論してテーマを決めていますが、今年は「ROOTS〜あなたの食は、どこから?」になりました。過去4回は、「届ける」「繋ぐ」「変化」「衝撃」でした。これらのテーマは、食と私たちをつなげるためには、どういった視点からマルシェを実施すればいいかを考えて出てきたものです。
今年は、自分たちの食を見直そう、つまり食べ物のルーツをたどろう、ということになりました。私たちは、食べているものがいのちであったこと、作り手の思いがあること、自分たちの手元に届くまでに何が行われているか、といったことはあまり意識しないと思います。今回の北大マルシェがそういったことを考えるきっかけになればいいな、と考えています。
(訪れた方との対話もマルシェの醍醐味です。昨年度撮影)<写真提供:北大マルシェ学生実行委員会>
どのような「ROOTSを伝える企画」があるのでしょうか
北大HOWマッチ、農ツアー、豚の丸焼き、牛乳の飲み比べ、フォトモザイクアートの五つを学生企画で行います。豚の丸焼と牛乳の飲み比べ以外は参加無料です。
「北大HOWマッチ」は、食べ物の値段を考える企画です。鮎、トマト、牛乳、ハチミツ、豚肉のそれぞれについて、値段を参加者に予想してもらいます。私たちが普段何気なく目にする価格は本当に適正なのでしょうか、どうして同じ野菜でも高い安いといった値段の違いがあるのでしょうか、そうした事をみなさんと一緒に考えていきます。
「農ツアー」は、北大の「農」を体験するツアーです。テーマは3つ、米、牛、トラクターです。米ツアーでは、米の品種によって味が変わるかどうか、食べくらべをしていただきます。牛ツアーでは、牧場で牛と触れ合うことができます。トラクターツアーでは、無人トラクターの操縦体験ができます。これらの企画を通して、農業により関心をもってもらいたいと考えています。面白そうなので、正直僕も参加したいです(笑)。
(農作業で機械は欠かせません。写真は野菜を移植する有人の農機。無人トラクターを見てみたい方はぜひご来場ください)<写真提供:北大マルシェ学生実行委員会>
「豚の丸焼き」では、一晩かけて丸焼きにした豚をみなさんに提供します。絶対おいしいですよ。豚は北大農場で育てられていた一頭を買いました。焼かれた豚が豚であったこと、ただの切り身の肉ではないことを伝えられたらいいなと思っています。
「牛乳の飲み比べ」では、牛の育て方、殺菌方法の違う牛乳を飲んでもらいます。日々飲んでる牛乳が均質化された味であり、本来の牛乳はいろいろな味があることを体験してもらいたいです。僕も先日実行委員で飲み比べましたが、その違いに驚きました。
(企画ミーティングでは実際に飲み比べをしました)<写真提供:北大マルシェ学生実行委員会>
「フォトモザイクアート」は、「北海道のおいしいもの」というテーマで様々な方に書いてもらったメッセージ付き写真を、モザイクアートにして展示します。遠くで見ても、近くで見てもメッセージがあり、楽しめるものにしたいと考えています。写真を300枚組み合わせて1つの絵にします。圧巻なものになる予定です。
なぜ実行委員長をやっているのでしょうか
食べることが好きだからです! 特にスープカレーが好きです。なにより野菜が美味しく食べられます。素揚げしたブロッコリーは絶品だと思います。
(キュウリも大好きな若林さん)<写真提供:北大マルシェ学生実行委員会>
…はさておき、僕が北大マルシェの実行委員長になったのは、ひとつのきっかけがあったからです。半分くらいは、まわりからの圧力みたいなのもあるんですが(笑)。元々食と農に興味があって農学部に入り、学部3年のときに富良野に農家調査に行きました。そこで「農家の方々は苦労している割に報われていないのではないか」と感じたことが根っこにあります。
もちろん実際の農家の方々は色々だとは思いますが、現在の流通システムに問題があるのかもしれないし、そもそも農家のやり方に課題があるのかもしれないし、味や価値がわからない消費者の問題かもしれない。考えていてもわからないので、まずは自分ができることをやっていくしかないのではないか、と思いました。それが北大マルシェの運営です。
マルシェ当日までにどのような事をしているのでしょうか
北大マルシェは「食の安全・安心基盤学」という大学院の授業の一環として行われています。4月から7月まで毎週授業があり、さまざまな側面から食の安全・安心について学び、考えています。近年食品の問題がニュースになることが多く、食の安全・安心を考える重要性は日々増していると実感しています。
授業は座学だけではなく、農業実習も4泊5日で2回行なっています。今回は富良野と訓子府に8名の学生がお邪魔しましました。私たち大学院生も農学を学んでいるとは言いながらも、土に触れる機会は少なかったりします。実習を通して、自分たちが何のために研究しているのか、農業とはどのような営みなのかを考えることができました。あと、農業の大変さが身にしみました。体力がないだけかもしれませんが(笑)。
(アスパラを収穫。富良野農業実習のひとこま)<写真提供:北大マルシェ学生実行委員会>
(訓子府町の広大なタマネギ畑にて)<写真提供:北大マルシェ学生実行委員会>
授業や実習、そして企画会議や出展者の方々との調整など、やることはたくさんあります。でも、とてもやりがいがありますね。
メッセージをお願いします
なぜ大学でマルシェを開くのか。何のためにやっているのか。そういったことを日々考える中で、自分たちがなすべき役割が見えてきたような気がします。食と農をきっかけに、都市と農村をつなげること、それが私たち実行委員の使命です。
ぜひみなさん北大マルシェに遊びに来てください。堅苦しいことを言ってしまいましたが、みなさんに美味しいものを食べてもらって、楽しんで帰ってもらえたら、それだけでいいんです。心より、みなさんのご来場をお待ちしています。
(北大マルシェ2011の様子)
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こちらもご覧ください。
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北大マルシェ2014公式サイト
http://www.agr.hokudai.ac.jp/humarche/hokudaimarche/home.htmlagr.hokudai.ac.jp/humarche/hokudaimarche/home.html