3月2日(木)の家路を急ぐ人が行き交う夕方、北大札幌キャンパスにある学術交流会館第一会議室で、スキルアップセミナー「伝えたいことを3分プレゼンにまとめるコツ」が行われました。「研究者のための」と名付けられたこのセミナー、北大大学院生はもちろんのこと、研究教育を担う教員や研究教育を支える学内の職員を対象として行われています。教える人も教わるこのスキルアップセミナーの様子をお届けします。
伝えたいことをまとめるコツを直接伝授
2014年に始まったスキルアップセミナーでは、これまで研究者が自身の研究を伝えるうえでポイントとなる様々なテーマが扱われてきました。16回目を迎えた今回は、川本真奈美さん(創成研究機構/広報課学術国際広報担当)が司会進行を務め、サイエンスコミュニケーターとして活躍する中村景子さん(株式会社スペースタイム代表取締役)が講師として、伝えたいことをまとめるコツを話しました。
中村さんは、研究がなかなか伝えられないのは「伝えたいことの構造化と言語化」が壁となっているのではないか、と語ります。繰り返し伝えられたのは、伝える相手を想像することでした。自分が伝えることで、相手にどのような行動変容をしてほしいのかを意識すれば、自ずと伝える目的と方向性が定まり、的確なライティングにつながります。例えば、「参画してほしい」のか、「疑問を持って考えてほしい」のか、それとも「理解してほしい」のかなど、相手に望む行動によって書き方が変わるというお話に、会場のみなさんも納得している様子でした。また、受け手にとってのメリットを表現に入れることも重要です。
このように伝える相手を意識することで、研究を伝えるのみならず、イベントなどのお知らせ、自己紹介にも応用できると中村さんはいいます。
レクチャーを受け、参加者はそれぞれが伝えたい相手やその内容、伝わった結果相手に期待する行動を設定し、伝えたいことを整理するワークに取り組みます。会場では希望者が中村さんから直接アドバイスを受ける機会が設けられました。中村さんは書いた意図を参加者に直接聞き取りながらアドバイスを行い、申請書を想定した大学院生には複数回登場する言葉や難しい言葉を少なくするコツ、日常に関連する話題にすることで受け手が興味を持ってくれるといったアドバイスがなされました。
今回参加したことですぐに伝え方が向上するというよりも、今回学んだことの実践を続けることが重要ではないかという川本さんのまとめで締めくくられました。
スキルアップセミナーに参加して
セミナー終了後、会場で参加した方にお話を伺いました。「自分の取り組みをどう伝えようか悩んでいたが、今回考えを整理することができました。定期的にスキルアップセミナーが開催されることで、これまで学んだことを忘れていないかその度に確認することができるので良い機会になっています」とおしゃっていました。
司会を務められた川本さんにもお話を伺いました。「今回も多くの方にご参加いただき、伝え方のコツを学ぶ学内セミナーの必要性を感じています。アンケートなどでのコメントからも、より伝わる表現への関心が高まっているように思います」とおしゃっていました。
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