北大札幌キャンパスの建物のなかで、あまり見慣れない非常口標識のデザインを見かけることに気付きました。
色褪せて青くなったであろう文字だけの誘導灯や、矢印とピクトグラムの向きが逆のマークがあったりするのです。
このレア度を理解するには、非常口標識の基本をおさえておく必要があります。
まず、現代日本の非常口標識には、大まかに分けて、
・白背景パターン:通路にあって、非常口のある方向を示す
・緑背景パターン:非常口そのものを示す
の2種類があり、矢印がある場合はピクトグラムも同じ向きに揃えられます。
火災時でも、赤の補色である緑は視認しやすいので、白背景標識が示す方向をたどり、緑背景標識が示す方向から脱出できる、というのがデザインのポイントです。
なので、色やピクトグラムの向きは重要なキーなのですが、現行システム制定・浸透以前の標識には、写真1,2枚目のようなものがあり、それが古い建物に残っているのだと思われます。
命に関わる標識が古いというのは少し心配ですが、ここでは珍しい標識に出逢えたことを喜んでおくとしましょう。
皆さんもぜひ、身の回りの非常口マークを遊び感覚で探して、ご自身の避難経路をシミュレーションしてみてはいかがでしょうか?
参考文献:
- 神忠久 2014: 「生死を分ける避難の知恵 ―その3 ホテル・旅館火災時の避難-」『日本照明工業会報』2014年11月号, p21-27
- 神忠久 2015: 「誘導灯の歴史「黎明期から現在まで」」『日本照明工業会報』2015年3月号, p17-23