札幌キャンパスの南側に位置するクラーク会館。その講堂に、パイプオルガンがあるのをご存知ですか?講演会やセミナーなどが行われる際は、ひっそりとその姿を隠しています。今回は、パイプオルガン研究会の辻ゆりさん(文学部2年)、藤木明日香さん(医学部2年)、川原大輝さん(理学部2年)、佐藤浩輔さん(文学研究科博士課程2年)の4人にお話をうかがいました。演奏もご紹介しますのでお楽しみに。
なぜ北大にパイプオルガンがあるのですか
クラーク会館の設立と深い関わりがあります。北大の創基80周年に、記念として学生のための福利厚生施設、クラーク会館が建てられました。そのときに、事業の計画・推進していた杉野目晴貞さん(当時 学長)が「これからの総合大学は学問の場であると同時に教養文化人として芸術を愛するものを育てる場所であるべき」という理念の元、卒業生らに募金を呼びかけたのです。
大学にパイプオルガンがあるのは珍しいと思うのですが
パイプオルガンを所有している国立大学は珍しくて、北海道大学の他には東京大学だけです。1962年11月にドイツ・ボンのヨハネス・クライス社におよそ1080万円で発注され、約3年かけて製造されました。組み上げだけでも1ヶ月弱の時間がかかりました。1966年5月末に組立てと整音が完了しています。ドイツの一流メーカーが製作したもので、道内では札幌コンサートホールキタラに次ぐ大きさのパイプオルガンなんですよ。
どんな人たちが演奏しているのですか
初めは、内外の著名なオルガニストを招いて演奏会が行われていました。第30回まで続いた演奏会ですが、設立当初に比べて聴衆が少なくなったこともあり1985年に中断されます。現在のように学生や職員に解放されるようになったのは1993年のことで、深澤和三さん(当時 学生部長)の呼びかけによるものです。
現在、パイプオルガン研究会には30人程のメンバーがいて、普段はサークル会館の電子オルガンを使って練習をしています。元々ピアノを習っていた学生もいますが、北大にパイプオルガンがあると聞いて大学で初めて鍵盤を触った人もいますよ。
たくさんのパイプですね。何本くらいあるのですか
北大のパイプオルガンは全部で1556本のパイプがあります。北海道内では2番目に大きいものです。大きいパイプは5mありますが、小さいものは5mmしかないんですよ。このパイプに空気を吹き込むことで、パイプオルガンの厳かな音色が奏でられます。形や材質、長さによって、音色が変わります。
同時にいくつもの音が弾けるのですか
思わず聴き入ってしまう音色。何種類の音が出せるかわかりますか。実は、24種の音色を出すことができて、自由に組み合わせて演奏できます。演奏者は1人なのにいくつもの音が聞こえるのは、両手と一緒に両足も使うからです。
演奏する足の動きが滑らかですね
演奏専用の靴を履いています。靴の底がつるつるしていて、演奏するときにスムーズに音から音をつなげられるようになっています。女性用、男性用があり、値段は・・・2万円くらいです。あまり需要がないので高いのでしょうね。
パイプオルガンの音色が聞きたい!と思った方は、6月7日(土)に開催される演奏会にぜひお越し下さい。
日時:6月7日(土) 14時開演(13時半開場)
場所:クラーク会館講堂
入場:無料
パイプオルガン研究会 HP
次回は、実際に演奏をしていただきます。厳かな音色をつくりだす鍵盤やパイプオルガンの仕組みについて詳しくお話をうかがいますので、お楽しみに!