月が欠け始めました。普段以上に大きな満月がみるみるうちに欠けていきます。それにしたがい、月明かりに照らされていたポプラ並木もしだいに黒く塗りつぶされ、ついに暗闇へと消えてしまいました。月食です。完全に飲み込まれた月。しかし、消える直前の儚さとは異なり、その姿は怪しげな赤を讃えています。月に遠慮し、隠れていた星々の輝きも夜空を彩り、とても神秘的な光景が目の前に広がりました。その光景に、多くの人が足を止め、感嘆の声をもらします。
月食は、太陽-地球-月の順番に並ぶことにより、月が太陽の作る地球の影に入ってしまう現象のことをさします。そのため、月食は満月のときにしか発生しません。しかし、月と太陽の軌道が傾いているため、普段通りの月であったり、部分月食であったり、今回のように影にすっぽりと収まってしまう皆既月食が起こったりするのです。
今回は、ほぼ半年ごとに皆既月食が4回続けて起こる「テトラッド」と呼ばれる現象の2回目にあたります。非常に珍しい現象で、過去500年間に3回しか起こっていないほどです。今回見逃してしまった人は、半年後を期待して待ちましょう。
1時間の後、月が再び顔を覗かせました。黄金色の光に北大キャンパスがぼうっと照らされていきます。もう少しすれば、イチョウやポプラ並木が黄金色に輝くさまも楽しめそうです。
【三井翔太・CoSTEP本科生/環境科学院1年】