2018年4月にオープンした、北海道大学総合博物館のミュージアムショップ「ぽとろ」には魅惑のミュージアムグッズがいたるところに陳列されています。11月からは札幌在住の切り絵作家・黒川絵里奈さんの作品が置かれるようになりました。今回、黒川さんに取材を行い、ぽとろに作品を並べるにいたった経緯や切り絵作家としてのキャリア、そして今後の展望についてお話を伺いました。
-どういった経緯で、黒川さんの切り絵作品がぽとろで扱われるようになったのでしょうか。
北大札幌キャンパスの正門からすぐのところに多目的ギャラリーとして使うことのできる「GALLERY ESSE」があります。10月に、そこを使って「風舞う森の物語 ~どこまでも広がりゆく紙と切り絵の世界~」と題した切り絵の個展を行いました。ちょうど北大の金葉祭の時期とも重なって、おかげさまで多くの人に足を運んでもらうことができました。その際に、ぽとろスタッフの浅野目祥子さんがいらして、「黒川さんの切り絵はぽとろに合いそうですね」とお声がけいただきました。
-切り絵作家としてのキャリアはどのようにスタートしたのでしょうか。
小樽商科大学を卒業後、普通に企業に就職しました。なので、美大を出ているわけではないんですね。ただ、高校生の頃から漫画家になりたいという夢を持っていたので、ずっと漫画を描くことを続けていました。その夢があったので、東京の出版社に持ち込んだところ、まずはアシスタントとして学んだほうがいいといわれ、札幌在住の漫画家の先生のところで働き始めました。
そんな生活をしている内に、人形劇師の沢則行さんが人形劇講座を開くということを知り、興味があったので参加してみたところ、それがおもしろくて、沢さんの下で人形作りを手伝うようになりました。沢さんはスクリーンに映す影絵の表現をよくするのですが、そこに登場させる切り絵を作ったのがきっかけで、切り絵の世界に夢中になっていきました。キャリアとしては6年目になります。
-今後の作家活動の展望を教えていただけますか。
個展を開くと、新しい方と出会うことができます。その方がまた違う方を紹介してくださって、作品をより多くの方に見てもらうことができます。どんな形であれ、作品を見てもらうのが一番大切ではないかと思います。札幌では何度も開催してきたので、今後は東京や大阪、海外で個展を開けたらいいですね。
昨年、沢さんの紹介でチェコ共和国の首都・プラハで切り絵教室をやったのですが、みなさん自由な発想で楽しそうに切り絵をなさっていました。ああいうのを見ると、私自身の刺激にもなるので、海外というのは視野に入れていきたいと思っています。
ぽとろのミュージアムグッズの話に戻ると、今置かせていただいている作品は私がこれまで手掛けてきたものの中で、北大に合う作品をセレクトしていますが、ゆくゆくは札幌キャンパス内にいる可愛らしいエゾリスや、金葉祭の時期の美しい銀杏並木を切り絵にして、手にとってもらえるようにしたいと思っています。
(雪の結晶の切り絵が入ったペンダント。雪氷研究で知られる北大に合う作品です)
(クラーク博士の作品は羊ケ丘展望台のものしかないため、今後は北大のものも検討していくとのこと)