長年の年月が積み重なり、鈍い光を湛える金属のレール。糸が巻かれている機械。幾万もの学生・教員・技官の手で扱われて滑らかになり、色が濃くなっている木目… いい「味」が満ちているこの場所はどこでしょうか。そして何をする場所なのでしょうか。
ここは、農学部の皮革実習工場です。主に皮をなめして「革」にする場所です。かつては皮革工芸工房として盛んに教育・研究が行われていました。しかし、なめし作業で用いる薬品が及ぼす環境影響への配慮や、研究の専門化により、現在は肉や皮革のコラーゲンやタンパク質といったミクロレベルの研究に重点が移っています。
今でもここでは、畜産科学科の学生が「副生物利用学」の一環として、皮革の授業を受けています。また、1名の技術職員がその技術を継承しています。かっこよく、趣あるこの風景からは、時代と共に研究対象や方法が変化してきた流れが感じられます。