夏の爽やかな風が吹き渡る北大の余市果樹園では、サクランボが収穫の季節を迎えています。ふと木を見上げてみると、一羽のフクロウが睨みを利かせています!
実はこのフクロウは置物。カラスやムクドリといった野鳥から、たわわに実ったサクランボを守る使命を帯びています。余市果樹園では佐藤錦や紅秀峰(べにしゅうほう)、南陽、アメリカンチェリーといった品種が植えられており、学生実習や企業の試験に使われています。フクロウはその大切なサクランボを守っているわけです。
(木製の名札がそれぞれの樹に付けられています。下地の白塗りの剥がれ具合が、樹の生きてきた時間を感じさせます)
「鳥は人間よりも眼がいいんです。完全に熟した果実のわずかな色の違いを見分けることができるので、そろそろ収穫かな、と思っていたら、一番よいタイミングで先にすっかり食べられてしまうこともあります」と高橋太郎さん(技術専門職員)はお話してくれました。
(技術専門職員の高橋さんとフクロウ型のスピーカー。お腹のスピーカーからは、野鳥が嫌うカラスの断末魔の鳴き声が流れます。「樹上の置物とスピーカーを組み合わせて、鳥がいやがる状況を演出しています。まるで劇場ですね」と笑います)
(飴色になったサクランボが一番の食べごろ。「売っているサクランボでは絶対味わえないですね」)
余市果樹園ではサクランボの他にも、リンゴやブドウ、ハスカップなど様々な種類の果樹が栽培されており、学内外の研究の要請に応えられるようになっています。また、農業機械の試験や菌のサンプリングなど、果樹園を必要とする研究は多岐に渡ります。
この果樹園を維持管理しているのは、高橋さんのほか、増茂弘規さん(技術職員)と荒川めぐみさん(技能補助員、5月~11月のみ)の3人。高橋さんと増茂さんに伺った、果樹園の初夏のお仕事について、今後紹介する予定です。お楽しみに!
【村上茉梨絵・CoSTEP本科生/生命科学院 修士1年】