2017年2月、ボストン市内にてAAAS(アメリカ科学振興協会)の年次大会が開催されました。AAAS全体の様子をお届けした前回にひきつづき、第2回目となる今回は、国際連携機構とURAステーションの混成チームで出展した北大紹介ブースの様子をご紹介します。国籍も職種も研究バックグラウンドも色とりどりの国際舞台で、北大チームはどんなPR戦略をうったのでしょうか。
AAASでは、前回ご紹介したテーマごとのセッションの他に、教育研究機関や企業の出展ブースエリアが用意されます。AAAS会場として借り切っていたHynes Convention Centerの一番大きなアリーナに、北海道大学を含む42団体が出展しました。
(ブースに訪れた家族連れに北大グッズを紹介するURA小俣友輝さん)
地域で分けるならば、アメリカ国内、ヨーロッパ、日本からの出展が大半を占め、ジャンルでは教育研究の振興機関、原子力機関、学術雑誌出版社、そして科学系の学部を持つ大学が目立ちました。全42団体のうち6団体が日本からの出展とあって、アメリカにいながらどこからか日本語がきこえてくることもしばしば。
(左:JST(科学技術振興機構)。右:東京藝術大学の研究員の皆さん。
JSTの支援のもと、香料製造社と共同開発した作品とともに。
髪の部分をこするとびんつけ油の香りがする)
(日本原子力研究開発機構(JAEA)。原子力開発だけでなく学際的な技術開発研究について展示)
(沖縄科学技術大学院大学(OIST)。北大ブースのはす向かいに出展)
(世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)。本州以南の主要な大学が連携する)
(日本科学未来館。リニューアルオープン後、最初のAAAS出展)
北海道大学の展示ブースを企画したのは、URAステーションの小俣友輝さんと国際連携機構の南波直樹さん、カトリーナケィ・アライモさん。学部や大学院、多様な教育プログラムの紹介を中心に、留学生や海外からの研究者招致を意識したPR活動を行ないました。日本を一歩出れば、Hokkaido Universityの名は超有名!というわけではありませんから、まずは北大を知ってもらう必要があります。北大の各部局で作成している海外向けパンフレットとともに、北大グッズをプレゼントして興味を持ってもらう作戦です。
(北大の研究にちなんで作られたグッズ。
左:なまこ折の折り紙。繁富香織先生の細胞工学研究がベース
右:雪の結晶をかたどった紙石鹸。中谷宇吉郎先生の氷雪研究がベース)
(日本への留学や就職を考えている人には、国際連携機構のカトリーナケィ・アライモさんが対応)
(特定の大学院や研究室の情報を求めてブースにくる研究者も多数)
これから海外での大学院進学を検討している大学生や、将来子供を日本に留学させたいという親御さん、そして中にはwebサイトで北大のことを知り、すでに具体的に進学を検討中の学生さんも。
(アメリカから北大への進学を検討中の大学4年生。
かつて北大CoSTEPが配信していたラジオのリスナーだったそう)
会期中の土日には隣のホールで市民向けサイエンスイベント「Family Science Days」が開催されており、そこから流れてきた家族連れで北大ブースがいっぱいになる場面もありました。来場者のなかには研究者一家も多く、子供が北大グッズの折り紙を楽しむあいだに研究職の親御さんが北大での研究や日本での生活について質問する、というコミュニケーションが生まれました。
(折り紙に夢中の小学生の娘さんと、日本への留学に興味のあるお姉さんと親御さん)
(「折り紙の折り方を英語で説明するのは難しい」と国際連携機構の南波直樹さん)
4日間で百組以上の来場者がありましたが、ブースを見に来た一般の参加者とのコミュニケーションだけでなく、ブース展示者同士の交流も大事な時間です。特に、AAASに毎年参加している団体にとっては、ブースのレイアウトやグッズの傾向など、プロモーション戦略を研究するよい機会でもあるようです。出展による広告効果測定のためにアンケート調査を行なう団体もありました。
(北大ブースに立ち寄られた日本科学未来館館長の毛利衛さんと)
北大は、AAASに出展を始めて今年で5回目になります。その甲斐あって「去年も出展していましたね」と声をかけてくれる人もいました。まず北大を知ってもらう、というミッションは徐々に達成されつつあるようです。
(開場前のひととき)