厚岸臨海実験所では、3名の教員、3名の学術研究員、4名の学生が在住し研究しています。その他にも、実習などで北大や他大学の学生が実験所を訪れています。実験所で行われている教育活動について所長の仲岡さんに伺いました。
日本での海洋教育関係の拠点のひとつとして、文科省の「教育関係共同利用拠点」に2012年に採択されました。これは、北大の室蘭臨海実験所と共同で採択されたものです。室蘭実験所では主に細胞学や発生学などのミクロ(小さな世界の)生物学を、こちらでは生態学を含むマクロ(大きな世界の)生物学を中心に行っています。
実習を履修するのは、北大の学生だけではありません。京都大学や九州大学など、他大学の学生も一緒になって臨海実習に参加します。「海をあまり知らない人にもひらいていこうと、数年前から始めていました。」今年からは、北大生と他大学の学生との合同実習も始めました。海や山などの自然環境に興味がある、意識の高い学生が多いそうです。「いろいろなバックグラウンドを持つ学生が集まって、お互いに刺激しあって視野を広げていったらいいと思っています。」
(海水の水温や塩分を測定する実習。測定器のモニターに数字が表示されます。)
他に、国際プロジェクトにかかわる学生も来日しています。今年の4月に、ドイツのキール大学から派遣された大学院生は、北大生と一緒に、プラスチックが海底の生き物に与える影響について調べています。海には多くのプラスチックゴミがあります。1mmより細かくなり海底に堆積したプラスチックは、生き物にどのような影響を与えるのでしょうか。大型のゴカイを室内で飼育し、実験しています。
(ドイツからの留学生と、北大の水産科学院の学生。)
「北大生と海外から来ている学生がペアになって、ひとつの実験に取り組んでいます。必然的にコミュニケーション言語は英語になりますね。最初は英語が不慣れでも、必要に迫られてやっているうちに、コミュニケーションがとれるようになる。学生が成長していく姿は、なによりも嬉しいですね。」
視野を広げて、世界で活躍してほしい。そんな仲岡さんの気持ちが伝わってきます。