入院している子どもたちの弱った心を元気づけるとともに、学習の遅れを軽減し、退院後スムーズに原籍校での生活に戻れるようにするために、1972年(昭和47年)、市立札幌病院内に「ひまわり分校」が設置されました。「病気に立ち向かう、たくましい心豊かな子どもを育てる」という教育目標のもと、様々な教育活動を行ってきましたが、在籍生徒の減少等から、2015年(平成27年)にその役目を北大病院に移すことになりました。ひまわり分校は移転して4年目を迎えました。分校の教育活動を通して、「たくましく、心豊かな」子どもを育んでいけるよう、教職員の方々が日々努力をされています。
スタッフは校長、教頭1名、小学校教員2名、中学校教員2名、他に校務助手1名の体制です。校長は、幌北小学校と北辰中学校の校長がそれぞれの校種を、教頭はひまわり分校の小学校と中学校の教頭を兼務しています。ひまわり分校は、病虚弱の特別支援学級のみからなる学校ですが、原籍校では通常学級に通っていた生徒ばかりのため、小学校は小学校教諭の免許を持つ教員が、中学校は中学校教諭の免許を持つ教員が担当しています。札幌市立の他の学校と同様に、札幌市教育委員会から配属されます。
(一日のスケジュール)
ひまわり分校の一日は病棟連絡からはじまります。ここで、生徒の出欠確認を行います。9:15から登校開始ですが、医師の回診があるため、登校時間は生徒によって違うこともあります。特徴として、ひまわり分校は特別支援学級のため、自立活動の時間が週に一回用意されています。楽しい時間を仲間と過ごすことで、心の安定を図ります。
(北大病院1階の掲示板。小学生の制作物が掲示されています。)
特別支援学級ということで、教職員は日々の運営の中で配慮していることがいくつかあるといいます。例えば、体調面や精神面の変化をよく見ることです。ケガや感染で具合が悪くなったり、治療に使う薬の影響で不安定になったりする場合があるため、すぐに病棟と連絡をとるようにしているそうです。免疫力が低下している生徒たちに病気を感染させないために、教職員自身の体調管理にも努めています。また、悩みや不安を軽減するために、生徒の願い、保護者の願いに寄り添いながら、生徒一人一人に応じた「分かりやすい」授業を工夫し、学習進度をしっかり確認しながら、前に進むようにしています。退院して原籍校に戻っていった場合に、学習の遅れがないように、原籍校の教職員とも連絡を取り合っています。
教職員のみなさんに、ひまわり分校の子どもたちと接していて感じることや考えることを尋ねると、「困難を抱えながらも、日々、一生懸命に勉強に取り組んでいる。」、「病気と闘いながら、辛くとも笑顔を忘れない子どもたちに、日々、感銘をうけています。」、「子どもたちを元気づける立場にいながら、逆に元気や勇気をもらっています。」、「普通に学校に通い、普通に授業を受け、普通に友達と会話したり活動することの大切さを改めて実感します。」との言葉が寄せられました。
今日から新年度。ひまわり分校の教室では、新学期を迎えます。