5月31日、北大総合博物館と むかわ町との相互協力協定についての覚書の締結式が開かれました。ハドロサウルス類の恐竜、通称「むかわ竜」の発掘・研究等で、これまで北大総合博物館とむかわ町穂別博物館は連携してきました。今回の覚書では、穂別博物館内に北大総合博物館の「古生物学研究分室」を設けることが目玉になっています。今年の夏までに仮開設をめざし、2021年度にリニューアルされる予定の穂別博物館内には専用スペースが設けられる計画です。
竹中喜之町長は挨拶の中で「むかわ竜の価値をみがき、地方創成のシンボル事業として全国に発信したい。北海道、日本の宝をもつ博物館として、より多くの人が体感できるようにしていきたい」と述べ、中川光弘館長(北大総合博物館 教授)も「今後は地質、植物、昆虫、考古学、観光といった分野などにも波及が期待できる。社会と学問の連携という新しいモデルとして発信できるものだ」と語りました。
会場には、むかわ竜の発掘に携わっている小林快次さん(総合博物館 准教授)も臨席。分室設置のメリットと今後の展開を伺いました。「これまで、北大と穂別の2か所で研究を進めてきましたが、行ったり来たりで時間のロスがありました。今は研究をスピードアップしたい時です。例えば比較用の化石標本を海外から借りていますが、そういうものを穂別に保管することもでき、スピードも研究の質もあがります。雑務が多い札幌を離れて集中もできますね(笑)。学生は地元の高校生や子どもと交流することで、コミュニケーション力の育成にもつながります。長期的なプランとしては分室を拠点に、継続的な発掘をしていきたいですね。広大な地域から”化石という地下資源”をより多く発見きるでしょう」
北海道が日本の化石研究のあらたな中心となりそうです。今後も「いいね!Hokudai」はこの動きを追っていきます。
【川本思心・CoSTEP/理学研究院 准教授】