北海道大学札幌キャンパスには,石山通に架かる跨道橋があります。農学部地区と札幌研究林の実験苗畑を繋ぐ跨道橋は、施設老朽化のため、8月23日から撤去工事を始めました。去年の写真に比べると、景観が大きく変化し、驚くほど空が広くなった風景が目に入ります。
札幌冬季オリンピックで建てられた跨道橋
約50年前、札幌冬季オリンピックに向けて、当時北海道大学の敷地だった場所に石山通りを通す工事が行われました。ただ、道を通すことでキャンパスが分断されるため、跨道橋が建てられたといわれています。ただ、大学のキャンパスをつなぐ跨道橋であったため、まちで広く使われているより、研究フィールドとしての札幌キャンパス苗畑との行き来のために使われることが多かったです。また、跨道橋をわたったところに外国人宿舎があるため、留学生や外国からきた研究者の利用も多くありました。
跨道橋を渡ることは、様々なシーンが体験すること
橋は、農学部の裏側から桑園沿いの札幌キャンパス苗畑に向かうにつれ、緩やかなカーブを描くように作られていました。高い位置から木の観察ができる入口を通ってもう少し進むと、石山通りの真上を見渡せる風景が広がります。かすかに聞こえてきた車の音も、JRの音も、鮮明に聞こえるようになります。石山通りを利用する方々の中でも、この橋はいったいどのような橋なのか、不思議に思うことが多いそうです。車からの視線を感じながらもう少し進むと、豊かな林の風景が目に入ります。苗畑を用いた実験や、古い温室を生かしたアートプロジェクト「アノオンシツ」などの研究が行われている研究フィールドにたどり着きます。橋を渡ったところから桑園側との出入口はないため、道を聞かれることも多くありました。
札幌研究林苗畑から農学部裏まで戻ってくる時の風景
跨道橋の撤去に伴う伐採
跨道橋が通っている石山通りは車の通行量が非常に多いため、橋を分解して、最終的に大型クレーンで東側と西側から引き上げて撤去する予定です。そのため、重機が作業できる場所を確保する必要があり、約250本の木を伐採する工事が、8月23日から9月にわたって行われています。
伐採した木は、捨てずに活用する
今回の工事で伐採された木材は、アートを通した科学技術コミュニケーションの実践研究として活用する予定です。クリエイターによる作品制作や、大学の施設建設における材料として活用するなどの取り組みから、サステイナブルキャンパスとしてSDGsの達成に貢献することを目指しています。
跨道橋とさよならする方法
また、撤去する橋に対する市民の思いを集めるプロジェクトも企画されています。約50年も石山通りの上で見守ってくれていた跨道橋に関する思い出がある方は、今後のプロジェクトの開始をご期待ください。