2021年12月2日(木)、北海道大学の百年記念記念会館1階大会議室にて、ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言の発信についての記者会見が行なわれました。ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言とは、ジェンダーや国籍などさまざまな多様性をもつ人々を尊重し、そうした人々の共生を実現できるような大学を目指すという北大の宣言です。以下に宣言の一部を抜粋します。
「〔…〕北海道大学は、誰一人取り残さず、人種、国籍、肌の色、言語、民族、出自、宗教、信条、性別、性的指向、性自認、ライフイベント、年齢、障害、外見・容姿、ライフスタイル、その他のいっさいの個人の事由に関わらず、すべての構成員の尊厳が守られ、ひとりひとりが誇りを持ち、互いを尊重する大学環境を目指します。また、すべての構成員がその能力を最大限に発揮して自らの可能性に挑戦できることを目指して、さらなる意識改革および環境整備を進めます。これらの新たな理念と氏名を掲げ、多様性を尊重し共生を実践することを決意し、「北海道大学ダイバーシティ&インクルージョン推進」を宣言します。」
記者会見では、寶金清博総長から宣言についての説明がありました。寶金総長は、学部や国際性といった多様性を北大が体現してきた歴史に触れながら、他方で、そういった多様性の実現が足りていないところもあることに目を向けます。例えば、大学の教員の女性比率が14.4%であるなどのデータを示しながら、男女別の教員職階構成に偏りがあることや、LGBTQ+といった性的多様性の尊重などへの課題が挙げられていました。北大は、現在、2026年の創基150周年に向けて、「世界の課題解決に貢献する北海道大学へ」という目標を掲げています。この目標の達成の重要な要件として、ダイバーシティ&インクルージョン推進が位置づけられました。
記者会見終了後、今回の宣言の策定に関わってきた瀬名波栄潤さん(文学研究院 教授)に今回の宣言についてお話しを伺いました。
「私は一年前の宣言の草案作りのときから関わってきました。確かに、このような試み自体は他の大学も行なっています。なので、この宣言自体はスタートポイントです。問題は今後どのようにするのかということです。具体的に大学を動かすという点はこれからなんだろうなと思います。ただし、こういった宣言を出して動かざるを得ない環境を北大が自らに課したことはひじょうに重要です。その勇気に敬意を払いつつ、今後、結果を求めていきたいと思います。」
今回の宣言の制定を受けた記念講演会が12月に開催されます。瀬名波さんがこの講演会の企画を担当しています。その他にも、「北海道大学がダイバーシティ&インクルージョンをちょっと考える6か月」と題する一連のイベントが来年(2022年)3月までいくつか開催される予定です。「いいね!Hokudai」ですでに紹介した「古川記念講堂パープル・ライトアップ」(講堂を 照らす光は 何色か(2021年11月11日))をはじめとして、附属図書館ダイバーシティ関連図書展示企画(1月17日~3月18日)、ダイバーシティ研究環境推進シンポジウム(2月4日)などの企画が続きます。以下がそれらの案内のリンクです。