北海道大学大学院獣医学研究院 助教の佐鹿万里子(さしか・まりこ)さんは、18年もの間、「アライグマ問題」にとりくんできました。そして今、外来種であるアライグマをこれ以上増やさないために、新たなアプローチで研究を始めようと、クラウドファンディングに挑戦しています。
*クラウドファンディングの詳細については文末をご参照ください。
アライグマは、1970年代後半から1980年代に日本に持ち込まれました。当時はペットとして人気を博しましたが、徐々に捨てられたり脱走した個体が野生化して、自然環境下でどんどん数を増やしていきました。次第に、農作物を荒らしたり家屋に侵入してすみ着くといった問題行動の報告件数が増加し、今や「害獣」になってしまいました。
しかしもっと厄介なのは、人や動物に感染症を媒介したり、在来の生物を捕食したりすみかを奪ったりすることで、元々の生態系を大きく改変してしまうおそれがあることです。アライグマは非常に繁殖力が高く四肢も器用なため、在来種であるキツネやタヌキとの資源の取り合いに負けないたくましさを持っています。それに、希少な在来種を捕食することで絶滅に追いやる可能性もあるのです。
この問題について、外来生物法制定の2004年以来、緊急課題として研究と対策が行なわれてきました。しかし、資金や人材の不足、システムの不整備などが原因でなかなか思うように進んでいないのが現状です。先の見えない現場でのアライグマ対策は非常に苦しく、この問題から手を引く研究者も多いといいます。
そんななか、佐鹿さんは自身の長年の研究結果から、アライグマの繁殖力の高さにカギを見出しました。彼らの繁殖特性を明らかにすることで、繁殖を抑制する薬の開発につながるかもしれません。
「現在すでに行なわれている捕獲対策に加えて、さらに繁殖抑制をかけることができれば、駆除により犠牲となる個体を減らしながら、より効率的にアライグマ問題を解決できるはず」
と、佐鹿さんは考えます。
外来種研究の最終目標は、その種の根絶です。そこには常に、一方的に悪者とは呼べない相手と闘う苦悩がつきまといます。その中で、アライグマにとっても対策にあたる人間にとっても、少しでも負担の軽い道が開けるのなら、この長いトンネルに一筋、光が射すかもしれません。
佐鹿さんがチャレンジするクラウドファンディングは、ただいま受付中です。
ぜひ応援を!
プロジェクト名:繁殖メカニズムを解明し、アライグマ問題を解決したい!
期 間 : 2021年12月22日10時~2022年1月27日 17時
コース : 1100円/5500円/1.1万円/3.3万円/5.5万円
目標金額 : 50万円(目標金額以上が集まった場合のみ成立のAll or nothing方式)
NEXT GOAL : 100万円
※目標金額の50万円を達成したため、現在、【NEXT GOAL 100万円】を目指しています。
佐鹿さんの研究計画やクラウドファンディングの詳細は【こちら】