北海道大学総合博物館一階の企画展示室では、2022年4月16日(土)から5月29日(日)まで「山本純一写真展 カムイの大地 生命の鼓動」が開催されています。「カムイ」とは神のこと。生き物、草木、そして人間といったすべてのものにカムイが宿っているという世界観が写真家・山本純一さんにはあります。その世界観を背景にした「北海道の圧倒的なスケールの自然に触れて欲しい」と山本さんは述べます。今回、博物館で山本さんに少しだけお話しを伺いました。
北大博物館で今回の写真展を行なうことになった経緯はどのようなものだったのでしょうか。
実は二年前にこの写真の展示を企画していたんです。ただ、スタートした瞬間にコロナが始まって、休館がずっと続いて、結局誰も見れずに終わってしまったんです。
二年越しの展示だったんですね! コロナ禍の二年間、写真家としての活動はどのようなものだったのでしょうか。
この二年間は自分を見返すとても貴重な時期になりました。前は忙しく取材に行ってばかりいた時期が続いて、なかなかじっくり自分の写真を見返すことがなかったんですよ。もちろん、写真家としてはつらい時期でもありました。札幌ナンバーの車で地方に行くには気が引けて、取材には行けませんでしたから。でも、今回のコロナの中で、自分の過去の写真を見返して、自分を見直すきっかけになりました。そのときに、自分が撮ってきた生き物の写真を一つのストーリーにまとめたいという思いが浮かびました。今回の「カムイのいのちの生と死」というコンセプトもそういった背景から生まれたものです。
今回の写真を見るととても過酷な環境に飛び込んで撮影したんだろうと思いました。とてもハードな撮影だったのではないでしょうか。
いえ、確かにたいへんな撮影だったのだろうなとは思いますが、実は過酷だったとか、たいへんだったといった感覚は私はありませんね。自分が現場に行ったときに感じるものがあるじゃないですか。次の世代に生命をつなげるためにこの木(上記写真)が枯れていったという様子であるとか、そこで思ったことを写真として伝えたいという意識が強いから、一枚一枚見た時にたいへんそうだなと思うかもしれませんけど、ぼくのなかでは楽しんでいるといったらおかしいかもしれないんだけど、たいへんという意識はないですね。
最後に写真展に来る方にメッセージをお願いします。
コロナ禍でたいへんな時期がつづいたのですが、人生そんなにね、ダメなこと、落ち込むことなんかないですよ! やっぱり違う観点から見たら、それもよかったなと思えるのが人生です。何気ないものやすごい近くにあるものでも、すべてのものにカムイは宿っているんです。そういったものを私は写真として共有したいと思っています。
写真家・山本純一さんをお招きした講演会が4月23日(土)と5月14日(土)に開催されます。講演会の情報は総合博物館サイトよりご確認ください。