北海道は、全国よりも人口減少が10年早く進む「課題先進地域」とも言われています。そうした状況の中、持続的な産業振興を行っていくため、北海道大学と小樽商科大学が連携し昨年立ち上たのが、スタートアップ育成ネットワーク「HSFC(エイチフォース:叡智の力)」です。2月24日(木)には、このHSFC主催で2種類のオンラインイベントが開催され、北大から起業にチャレンジする意義を話し合う一日となりました。
HSFCとは
HSFCの正式名称は、「北海道未来創造スタートアップ育成相互支援ネットワーク(HOKKAIDO STARTUP FUTURE CREATION)」。ネットワークを構成するのは、主幹機関である北海道大学のほか、小樽商科大学、室蘭工業大学、公立はこだて未来大学、電子開発学園北海道情報大学、苫小牧工業高等専門学校、公益財団法人北海道科学技術総合振興センターの共同機関6機関と外部協力機関12機関の計18機関に上ります。ネットワーク間の連携を通じて、研究機関発のスタートアップが継続的に生み出され発展していく仕組み(スタートアップ・エコシステム)の構築を目指しています。
昨年10月には、HSFCの活動拠点となる広域エリア統合インキュベーション拠点HX(エイチクロス)を創設。HXでは、Xdirector(クロスディレクター)が常駐し、細やかなコミュニケーションで相談者に寄り添い、多様な専門家との連携で大学発の起業をサポートしています。以前のいいね!Hokudaiで紹介した千脇美香さん(産学・地域連携協働推進機構)も、Xdirectorの一人です。
情報の発信と多様な人との交流を図るイベントの開催
またHSFCでは、スタートアップに向けてチャレンジしている取り組みの発信や、多様な人を巻き込んだ交流の促進を目的として、各種イベントの企画と運営も行なっています。去る2月24日(木)には、「HSFC TALK LIVE(エイチフォース トークライブ)2022」と「Demo Day」という二つのオンラインイベントが開催されました。
1.HSFC TALK LIVE(エイチフォース トークライブ)2022
まず午前に、起業や起業支援に携わる多彩なゲストを招いての「HSFC TALK LIVE(エイチフォース トークライブ)2022」が開催されました。トークライブでは、各パネリストによる実践事例の紹介ののち、「課題先進地域」と呼ばれる北海道で起業することの意義や、北海道から生まれるスタートアップとこれからの社会のかたちについてクロストークが行われました。モデレーターの進行によって、地域での起業のポイント、地方でどう育んでいくか、北海道の状況、大学に対して期待することといったテーマへと話が展開していきました。
2.Demo Day
午後には、HSFCが支援する13チームが、それぞれの技術シーズをもとにしたベンチャー事業構想を発表する「Demo Day」が開催されました。会の冒頭には、寳金清博北海道大学総長より挨拶がありました。寳金総長は、北海道における起業と廃業の数値の悪化への対策として、起業したばかりの組織を支援する仕組みが必要であり、HXの設立には大きな意義があること。そして2022年4月からの大学全体の方針として、スタートアップを含めた地域との連携を大きな柱に据えているという、新しいビジョンについて述べました。13組による発表が終わった後の審査員からの講評では、発表された研究シーズやプレゼンテーションの質、発表者の熱意の高さなど、大学発の起業やスタートアップ・エコシステムの構築への期待が感じられるコメントが集まりました。
北大発スタートアップに向けて、まずはご相談を!
北大発のスタートアップを多面的に支援する体制が、この1年で整いつつあります。Demo Dayで発表した13件に続けとばかりに、起業に関心を持つ大学関係者からの相談件数も増えてきているそうです。いずれ研究の社会実装や事業化をしたい、もしくは支援側として関わってみたいと考えている方は、気軽にXdirectorへご相談ください。