去年の10月、石山通りをわたる跨道橋の撤去について、いいね! Hokudaiでもお届けしました。この撤去工事のために伐採した木の中で、樹齢100年を超えるイチョウと、アカナラを用いて、地元の作家12組がオリジナルの椅子をつくりました。その椅子に座れる展示と、作家と研究者が行った12のトークを紹介する連携展示を、ご紹介します。
ギャラリー創での展示
素朴なベンチからハイスツール、クマの椅子、揺れる椅子、座椅子、木のフシが大胆に使われた椅子など… 中島公園駅から徒歩5分の位置にあるギャラリー創に入ると、色々な表情を持つ椅子が並びます。実際色々な椅子に触れて、座り心地や肌触りを楽しめるようになっています。
「札幌の木、北海道の椅子展’21-’22」と題した本展示は、Sapporo Association of Woodworkers(SAW)の主催で、北海道の木工家・デザイナーが札幌の木材で椅子を制作し、未利用材の活用やリサイクルを考えながら小規模木工の可能性を探る企画です。2回目となる今回は、北大CoSTEPと北方フィールド科学センターが連携して、北大の木材を用いた椅子づくりにチャレンジしました。
イチョウは、普段木材の市場にはあまり出回らない材で、材質がやわらかい針葉樹のため家具には向かない素材らしいです。ただ、今回は北大のイチョウとのことで、強度を増すためのさまざまなデザインの工夫がされました。12脚のうち、11脚が一本のイチョウからできていて、一本の木でこの椅子ができたことを考えると、驚きを感じられます。
アノオンシツ会場での展示
同時に開催されているアノオンシツ会場での展示は、「椅子と、森と、言葉と」です。椅子を作った作家さんの思いをそれぞれ収めた映像12本、研究者の紹介映像12本、その作家と研究者が椅子や森についてえ話し合ったトークが12本と並ぶ映像シリーズを、オンラインで公開しています。その情報の入り口となる展示として、トークで盛り上がった言葉を抜粋して、トークの一覧と一緒に展示しています。トークは、北海道大学の中で、木が感じられる、もしくは木の内装が特徴的な建物12ヶ所で収録しています。
また、伐採した木のディスクを、写真家の柿本拓哉さんが撮影した写真をお見せしています。また椅子には使ってない木々も、更なる方法によって、どんなものに生まれ変わるのか、その期待と想像につながればと思いました。
さらに、イチョウとアカナラが生えていた跡地には、伐採した時に保管したイチョウとアカナラ、それぞれのディスクを置いています。伐採する前の風景を想像しながら、 考えられると思いました。
椅子として生まれ変わった木々を、それをめぐる思い。ギャラリー創での椅子の展示と、アノオンシツの言葉の展示を通して、それぞれの椅子に対する、森に対する自分の思いを改めて見つめる機会になると思います。