FSC生物生産研究農場で蚕を飼っている事は前回6月14日の記事でお伝えしたが、その続報をお送りする。今回は卵から孵って毛蚕(けご)という状態から、餌となる桑の葉へ移す掃き立てをおこなったところから、一気に4回脱皮して5齢を迎えたところから始まる。最後のダッシュスパートでたらふく桑を食べ、ついに桑を食べるのを止め糸を吐き始める。ここまで孵化から概ね25日間を要する。3日ほどで繭は完成するが、映像では繭の出来上がりまで。このあと更に2週間ほどすると羽化が始まり、同じ種類同士で交尾をして品種の保存をするものと、他品種と交尾させて雑種を作るものとに分かれる。こうして生まれた卵は外気温の低下と共に2月頃から冷蔵庫で保管され、翌年また孵化から羽化・産卵と一連の作業が行われる。
養蚕室では今回34種の蚕を飼育し繭の収穫を行った。この中には100年以上続く系統も保存されている。多くは実験材料として幅広く利用されていて、実験にあった品種はもちろん、幼虫や糸の実験など、品種だけではなくその成育ステージによって必要とされる状態でも提供している。
繭は色も形も大きさも様々だ。日本の在来種の繭はくびれのあるひょうたん型で、中国やヨーロッパ、熱帯アジアなどはくびれの無い俵型だ。怪獣モスラの故郷インファント島は西太平洋のカロリン諸島(後にインドネシア諸島の設定に変わったが)なので、繭は俵型と考えられるが、映画ではひょうたん型だった。まあモスラは「ガ」の怪獣ではあるが「蚕」の怪獣というわけでもないので細かいことはまあ良いか。
細かいことついでではあるが、FSCとはField Science Center for Northern Biosphere, Hokkaido University、北方生物圏フィールド科学センターの略称である。
【林忠⼀・北⽅⽣物圏フィールド科学センター/いいね!Hokudai特派員】