「どさんこ」こと北海道和種馬はササをよく食べてくれる。消滅するまで食べ尽くす。こうして拓かれた土地に牧草の種子を蒔くことで、機械の入れづらい傾斜地でも牧草地に転換することができる。これは蹄耕法と言われ古くからおこなわれた手法だ。
実はこのどさんこ、静内研究牧場から札幌の盤渓に出張っているのだ。静内研究牧場と言えば北大短角牛の名前も最近あちこちで評判となっており嬉しい限りだが、どさんこの保存も重要な業務だ。静内では蹄耕法を使って山林の多い土地を上手に牧草地化してきた。近年では見通しのきくようになった山林での熊の出没を抑える効果や、元の植生が回復するなどの効果も期待されている。
さて出張の経緯。北大短角牛の試食会でたまたま河合正人牧場長の隣に座ったのが、クッキーの札幌農学校も作っている「きのとや」会長の長沼昭夫さんだった。蹄耕法に大いに興味を待たれ「自社の盤渓の山林で乳牛を飼うために実践したい」とのことから共同研究が始まったのである。
放牧は今年の夏から始まり、動画で紹介した引越先の区画のササは食べ尽くしてしまった。現在はロール牧草を食べていて、12月の第2週にはFSC、Field Science Center for Northern Biosphere, Hokkaido Universityこと北方生物圏フィールド科学センターの静内研究牧場に帰っていく。
出張お疲れ様でした。
【林忠⼀・北⽅⽣物圏フィールド科学センター/いいね!Hokudai特派員】