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「八月」教養棟と生協の外階段[物語の中の北大No.5]

札幌の夏は春の続きのようで、陽射しには柔らかさが感じられた。どんなに頑張っても肌は小麦色に焼けないが、湿気がないぶん汗を気にせず動き回れる。教養棟から出てくる学生たちはじゃれ合ったり、そのまま走り出す者もいて、どの顔にも試験を終えた解放感が見て取れた。
長谷川和郎もその中に混じって、生協の外階段を上がっていった。法学部への移行も確実になり、長谷川は久しぶりに晴れ晴れとした気分だった。

佐川光晴「八月」初出2009『静かな夜』収録(左右社2012, p193)


「物語の中の北大」第5回は、北大法学部卒の佐川光晴さんによる自伝的短編「八月」から。今回の一節が描いているのは1985年8月の教養棟と教養生協、現在の名前では高等教育推進機構棟と北部生協です。主人公の長谷川和郎はこの2年前の4月に入学。完成したばかりの3代目恵迪寮に入寮し、大学側と闘争を繰り広げますが、興味のある方はぜひ「八月」が収録されている『静かな夜』をご一読ください。

さて、最近の札幌の夏は「春の続き」ともいえない暑さになっています。また、「教食」とも呼ばれた北部生協付近も様変わりしています。写真右側にうつっている教養棟(S棟)は当時と変わらずですが、生協の写真中央部は2010年に建て増しされました。これに伴って外階段も撤去され、今は扉だけが当時をしのばせます。

(S棟の2階からのぞむ生協。手前の三角ひさしの建物が2010年に建て増しされた部分。その奥、ツタが絡まる壁の右側に、外階段につながっていた扉が残っています)
(なぜ2階の壁にドアだけが?と不思議におもう方もいるかもしれませんが、これが外階段につながっていた扉。現在は閉鎖されています)

とは言え、前期の試験を終えて長い夏休みを迎える学生の気持ちは今も昔も同じでしょう。ちなみに長谷川はフィリピンのネグロス島に渡り、そこで自分の領分と決断力の限界に直面すると同時に、確かに蓄えられた自らの力を確認します。

「いいね!Hokudai」も今日から夏休みに入ります。その間、タイムリーな記事を掲載するかもしれませんが、本格的な再開は22日からとなります。それでは皆様、よい夏休みを!

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2023.08.10

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