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横浜トリエンナーレの「野草」で見つけた北大

3月15日から6月9日まで開催されている第8回横浜トリエンナーレ。「野草:いま、ここで生きてる」をテーマにして、社会問題をアートで見える化し、問いかける作品が並んでいます。その中、メイン会場の横浜美術館で「北大」が登場します!

【朴炫貞・北海道大学 CoSTEP】

今回のトリエンナーレのビジュアルは、横浜市民の手書き文字を用いたタイポフラフィーが特徴的。
常に動き続けるWebサイトもテーマと繋がる表現の一つです。

今回のテーマ「野草」は、20世紀初頭に日本留学の経験もある中国の小説家・魯迅(ろじん)の詩集『野草』(1927年刊行)に由来します。第8回横浜トリエンナーレは横浜美術館を含め複数の会場で開催されますが、その中メイン会場となる横浜美術館は複数のセッションで分かれ、現在の災害や紛争、差別、労働などを含めた者問題を問いかけています。 

トリエンナーレのスタートと同時にリニューアルオープンした横浜美術館。
外壁で展示されている作品SIDE COREによる《big letters, small things》, 2024

その中で「流れと石」セクションは、進む力とそれを妨げる力がぶつかるところで発生する強い生命力に着目するセッションで、中国のアーティスト李平凡(Li Pingfan)を中心に交流があった日中版画交流を取り上げる作品が展示されています。

「流れと石」セクションの会場。左側に李平凡(1922-2011)の展示が並びます。

第二次大戦の時期に活躍した版画家であり、教育者である李平凡(1922-2011)は、帝国主義時代に半植民地の状態に置かれた中国を考え、近代化と独立を求める革命芸術運動「木刻運動」を進めました。木刻運動は抗日運動とともに広がりましたが、李平凡は版画を通じて日本で版画に関わる人々と出会ったことで、その生涯を日中版画交流に捧げています。

展示されていた、李平凡を中心に見た日中版画交流相関図

その日中版画交流は全国的に展開されていましたが、北海道では北大が中心になり1946年前後に交流があったと記録されています。北大の中ではその痕跡が見つからないものの、学生や民間を中心に動いていた当時の状況が伺えます。

一緒に展示されていた日中版画交流の全国の動き。北海道大学を中心にした札幌の動きが見えます。

展示されている、当時発行された雑誌。

展示されている資料。版画作品そのものも展示されていますが、
そのほかの当時どのようにこの作品が伝わり、「木彫運動」まで広がっていたかが伺える貴重な資料でした。

この動いは、「平凡の非凡な活動」名付けられた展示の一環で紹介されています。波乱の時代、平凡な作家の非凡な活動としての生涯や、それから影響を受けた作家の作品が数多く展示されています。「野草」、まさに草の根活動として一人の作家が築けた関係性は、戦争と破壊を繰り返している今を生きる私たちに様々なことを考えさせてくれるものでした。

北海道大学に所蔵されている『国境線』vol.1、中国留日学生北海道同学会発行

「木彫運動」の資料は見つからないものの、北海道大学文書館に所蔵されている『国境線』は、中国留日学生北海道同学会が発行したものです。1953年5月に刊行されたvol.1をめくってみると、北大の中国留学生や北海道在住の中国の方のネットワーク、当時の状況を想像できる内容が掲載されていました。大学は、知識を学習するだけでなく、コミュニティを作り、文化を築いていく場であることを感じられます。

より明るくリニューアルされた横浜美術館のロビー。空中に浮いている赤い糸の作品はサンドラ・ムジンガの《出土した葉》を含め、現在地球各地で起きている出来事について考えさせられる作品が並びます。

北海道でも「野草」が芽生えてくる季節となりました。たった何十年の年月で、国々の関係や生活がここまで大きく変わることに、改めて驚くと同時に、その今をどのように紡いでいくかについても考えさせられました。大きな時の流れは、毎日の地道な動きからつくられます。様々なところで芽生えてくる眼差しを体験するアートの旅先として、横浜トリエンナーレに出かけてみるのはいかがでしょうか。

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