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作り手の「想い」を届ける博物館カフェ 【ミュージアムカフェぽらす】

【吉川颯真│2025年度CoSTEP受講生】

(笑顔でぽらす愛を語る浅野目洋平さん)

北海道大学総合博物館に併設された「ミュージアムカフェぽらす」は、道産素材や北大にちなんだメニューを展開して、北大関係者や観光客に幅広く愛される憩いの場です。(公式HP: http://polus.tetote.org/)

お店のイチオシは、看板商品「西興部村(にしおこっぺむら)のソフトクリー夢」。筆者も取材後にいただき、食べる手が止まらなくなるほどのさわやかな風味を味わうことができました。

実はこのカフェ、おいしいだけでなく、少し特別な背景を持ちます。運営母体は福祉のNPO法人で、障がいのある方の働く場を提供する就労支援事業の一環としてオープンしました。

そんな温かい空間を作り上げているのが、2016年から店長を務める浅野目洋平さんです。4年間料理の腕を磨いたあと、故郷の北海道に帰ってきました。ぽらすのメニューには浅野目さんのこだわりと作り手の食材にかける想いがつまっています。

今回は、ぽらす店長の浅野目さんへのインタビューを通して、ぽらすの魅力や今後のビジョンに迫ります。

作り手の「想い」を届けるぽらすのメニュー

メニューを作る上で、大切にしているルールやこだわりはありますか?

大きく3つあります。1つ目は北海道産の食材を取り入れること。2つ目は北大にゆかりのある作り手の食材を取り入れること。そして3つ目はからだに優しいメニューを作ることです。なるべく道内のものを使うことや、添加物を使わないことで、安心して食べられるようなメニューを日々考えています。この3つに加えて、北大の博物館内にあるカフェだからこそ出せる付加価値を取り入れることも心がけています。

同じ食材・商品でも道内にはたくさんの種類がありますが、その中からどのようなこだわりを持って選んでいるのでしょうか?

どうしても迷った時には、どういう想いで食材や商品を作っているのかに着目して選んでいます。例えば、チョコレート「andew」は、当時北大生が開発したという付加価値があるだけでなく、皮膚難病の人でも栄養を摂れるような完全栄養食を目指して作られたチョコレートです。ただおいしいだけでなく、人を救いたいという想いに強く共感して、ぽらすでも販売しています。

「andew」は過去に『いいね!Hokudai』でも紹介しています。
(https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/like_hokudai/article/28478)

看板商品「西興部村のソフトクリー夢」にこめた想いを教えてください

ぽらすのソフトクリームは西興部村の萩原牧場の牛乳しか使っていません。ふつうの牛乳は複数の酪農家が搾った牛乳を混ぜて作られるので、一つの農家だけの牛乳からソフトクリームを作ることは珍しいです。

私が萩原牧場の牛乳を選んだ理由は、牛の飼育方針に強い感銘を受けたからです。完全放牧で、人工的な飼料を使わずに天然の牧草を食べさせ、牧場内の川の水を飲んでのびのびと暮らす牛たち。そのようにストレスなく健康に育った牛からとれる牛乳は、余計な雑味のないすっきりとした味わいになります。

ぽらすのソフトクリームは、牛乳の味が前面に出るようなあっさりした風味が持ち味です。売っている私自身、他のお店でソフトクリームを見かけても「どうせうちのが一番おいしいだろうな」と思ってしまうほど、ぽらすのソフトクリームの大ファンです。冬の吹雪の日でも、凍えながら「アイスください!」と来店されるお客様がいるほどの大人気メニューです。温かいコーヒーと一緒に楽しむのもおすすめです。初めてぽらすに来店されたお客様には「西興部村のソフトクリー夢」だけでもぜひ味わってもらえたらと思っています。

(浅野目さん自身が大ファンの「西興部村のソフトクリー夢」)

北海道・北大とお客様をつなぐ場としてのぽらす

北大内・博物館内のカフェとして、どのような取り組みをされてきましたか?

私たちは来館者の方に北海道や北大とのつながりを持ってもらえるような取り組みを日頃から行っています。例えば、ぽらすで淹れているコーヒーは、道内で最も歴史のある函館発祥のコーヒー店である美鈴コーヒーから提供いただいています。ソフトクリームに使われる牛乳は萩原牧場の牛乳ですが、コーヒーやラテ、ココアなど、牛乳を使ったドリンクにはすべて北大農場で搾られた牛乳を使っています。搾りたての牛乳をお店に届けてもらい、店内で低温殺菌することで、牛乳本来の香りや風味を大切にしています。カップも北大博物館をモチーフに作ったオリジナルマグカップを使っています。こちらのマグカップはおとなりのショップ「ぽとろ」で販売しているので、気に入ったらぜひお買い求めください。

イベントや期間限定の取り組みもされていますよね

はい。例えば、先日の金葉祭では、「生スイートポテト」と「焼き芋ラテ」という2種類のコラボメニューを展開しました。さつまいもは、経営母体が持っている札幌の畑で、農薬も肥料も使わない自然栽培で育てたものを使いました。また、博物館の企画展示などに絡めた限定メニューを作って、実際の展示品をモチーフに商品を開発しています。限定メニューをきっかけに、博物館展示についてより幅広い来館者の方々に知ってもらえたらいいなと思います。

私にとって料理は、音楽や映画鑑賞などで得た刺激をアウトプットしたり、内から湧き出るクリエイティブ欲を満たしたりする手段として不可欠です。だからこそ、大学のイベント等を通して得た刺激を料理で表現することを、私自身とても楽しみながら取り組んでいます。

それから、2024年までは夏季限定で博物館が夜まで一般開放されていました。「夜の博物館」を楽しめる機会はとても貴重ですが、あまりたくさんの人には知られていなかったので、夜に音楽系サークルや学術系サークルに声をかけて発表の場を設けることで、たくさんの方に楽しんでもらえたかなと思います。いろいろなことに取り組んでいる学生の皆さんが一般の方にオープンな活動報告をできるような、オフィシャルとカジュアルの中間的な位置づけで使ってもらえたらいいなと思っています。他にもぽらすを使わせてほしいという要望があれば、できる限り形にしていくつもりです。

12月14日には、博物館4Dシアターボランティアによる、ぽらすの空間を活用したプラネタリウムを実演するイベント「宙カフェ」も行われていました。

「宙カフェ」の様子は「いいね!Hokudai」でも紹介しています。
(https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/like_hokudai/article/35543)

(コーヒーのマグカップにもこだわりが隠されていました)

ぽらすの今後

ぽらすの今後について、どのようなビジョンを描いていますか?

ぽらすがオープンした当初、お客様は北大関係者や近隣住民の方がほとんどでした。しかし、コロナが明けてからは海外からの観光客の割合が圧倒的に増えました。札幌駅からも近くて、観光スポットとして訪れる方が増えている中で、北海道文化や日本文化を感じるメニューの需要も高まっています。一方、毎日のようにキャンパスに通う学生や教職員の方々は、日常的に通いやすい価格やボリュームを求めています。観光客と北大関係者の間で求めているものが違う中で、二つの客層の間でどのようにバランスを取りながらお店作りをしていくかについては、今まさに模索しているところです。

それから、北大内にはたくさんのカフェがあって、各店舗でそれぞれソフトクリームを販売しています。個人的には北大の様々なカフェを回れるようなソフトクリームのスタンプラリーとかやってみたら面白そうだなあと頭の中で考えたりしています(笑)。ソフトクリームだけでスタンプラリーができる大学なんて、多分北大くらいなんじゃないかな。北大内を散策するきっかけにもなるので、そういう企画ができたらいいなというのは、ずっと考えていますね。

 

(インタビューのあとは、ぽらすのメニューをいただきました!)

インタビューのあとに「シフォンケーキセット」をいただきました。シフォンケーキに西興部村のソフトクリー夢と自由に選べるドリンクがついてきます。シフォンケーキはとにかくふわふわでした。ソフトクリームにディップして口の中にいれるとすぐにソフトクリームとなじんで、シフォンケーキのしっとり感とぽらすのソフトクリームの牛乳由来の風味がまったく喧嘩しません。どんどんフォークが動いて次の一口を欲してしまうような、素直なおいしさを味わうことができました!

店長の浅野目さん自身が乳牛の飼育理念に共感して取り入れたソフトクリーム、皮膚難病の方を想う学生が考案したチョコレート、そして北大博物館がモチーフのカップで味わう道内最古の老舗が焙煎したコーヒー。

ミュージアムカフェぽらすで用いられている一つ一つの食材には、作り手の食材にかける想いと店長の浅野目さんの哲学が融合した温かいメッセージがこめられています。

北大を訪れた際には、ぜひぽらすのソフトクリー夢を片手に、これらの物語に想いを馳せながら、楽しいひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

ミュージアムカフェぽらす

〒060-0810
北海道札幌市北区北10条西8丁目
北海道大学総合博物館 1F
【開館時間】10:00-17:30 (LO. Food 16:30/ Drink 17:00)
【定休日】毎週月曜 (月曜祝日は開館し、週明けの平日が休館)

参考文献
  1. 特定非営利活動法人 手と手 「ミュージアムカフェ ぽらす」. 2018(最終閲覧日:2025年12月20日)
  2. #120 もうすぐホワイトデー!「世界一やさしいチョコレート」でお礼はいかが? (2023年3月10日)
  3. 【北大博物館「宙カフェ」】コーヒー片手に宇宙旅行【4Dシアターボランティア】(2025年12月15日)
  4. 美鈴商事株式会社 「北海道で一番古い珈琲屋【美鈴珈琲】」 (最終閲覧日:2025年12月20日)

 

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2025.12.26

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