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#246 後編「身近だけど意外と知らない?北大生協 ~経営編~」

前編では、北部食堂の仕事やメニューづくり、フードロスへの対応、混雑を減らす工夫について伺いました。いつも何気なく利用している食堂の一皿にも、多くの人の判断と工夫があることが見えてきました。

後編では視点を広げ、食堂・購買・書店・自販機など、北大生の生活を支える生協全体の仕組みに注目します。生協とはどのような組織なのか。組合員の声はどのように運営に関わっているのか。北大生協専務理事の齋藤さんに伺いました。

【山田智哉・総合理系1年/永見みずほ・教育学部1年/細田総司・法学部1年/大坂亮介・総合理系1年/大坪萌々葉・工学部1年】

そもそも「生協」とは、どんな組織なのですか。

生協は、組合員が出し合ったお金で成り立つ組織です。加入のときに払ってもらうのは会費ではなく「出資金」で、生協の資本金として、商品の仕入れや設備投資のもとになります。つまり、生協のお店は組合員みんなでつくっているお店なんです。(齋藤さん)

北大生協の食堂のメニューの値段は、何を基準にして決めているのですか。

全国平均の最低時給の半分というのが、だいたいの想定でした。それくらいであれば学生の生活を圧迫しすぎず、利益もなんとか取れるのではないかと考えたんです。学生のアルバイトの時給の半分から6割ぐらいまでに抑えよう、というのが食堂のメニューの平均単価のイメージです。(齋藤さん)

メニューの値段について、安さと利益を両立する方法について教えてください。

まずは継続して運営ができるような状態の価格であるかどうか、次の食材の仕入れができるようなお金が残るかどうかということがまず重要です。安さについては、一番は継続できるかどうかということを担保した後に、価格を抑えられるものをどこまで抑えるべきなのかということを総合的に考えています。(齋藤さん)

では、こうした生協のサービスは、誰のためにあるのでしょうか。北大には観光客など、組合員ではない利用者も多く訪れます。次に、非組合員の利用について伺いました。

北大には観光客の方もたくさんいらっしゃいますが、組合員とそうでない方をどのように分けて考えていますか。

非組合員には、加入対象ではあるものの未加入の方と、観光客のように一時的に北大に来ている方の2種類がいます。このうち観光客の方の利用については制限をさせていただいています。

観光客対応に関するルールもあり、生協は組合員のための施設なので、組合員以外のために組合員が不利益を被るのはあってはならない、ということです。具体的には中央食堂などは12時台の観光客の方のご利用はご遠慮いただいています。(齋藤さん)

観光客の方からしても魅力的なメニューは多いですが……

そもそも北大には観光客が多いですよね。なので観光客の方にも北大っていいなと思ってもらえるような体験をどのように作っていくかは考えています。けれど、どうやって観光客を呼び込もうか、ということを考えるのは生協の仕事ではないし、経営の基盤にするということは考えていません。観光客の方には、利用時間のルールを守って利用していただければと思います。(齋藤さん)

生協の経営で、日ごろから意識していることはありますか?

経営的なことでいうと、通常の企業と同等のレベルの業務改善というのを進めていくということが非常に重要だなと思っているので、まずは一般企業レベルの、他のチェーン店と同レベルでスキームができるのかどうかということを考えたりはしています。

もう一つ重要なのが、組合員がどれだけ経営に参加できる状態になっているかということです。生協の経営は、組合員が参加してくれないと良くはなりません。例えば、組合員の声をどれだけ集められるか、総代会(組合員の代表である総代が集まる会議)にどれだけの人が参加してもらえるか、店舗ミーティングなどにどれだけ関わってもらえるか。そうしたことが生協の経営を良くすることにつながるので、そこはすごく意識をしています。(齋藤さん)

学生の声が生協の運営に影響したことはありますか?

具体的に言うと、新入生向けのパソコンの販売をするにあたって、どのパソコンにするのかという選定をするときに学生の意見を聞いて参考にしています。例えば「4年後には生成AIをもっともっと使っているはずだよね。そうすると今のスペックでは足りなくないか」というようなことを、学生と議論しながら決めています。

学生の声が経営に決定的なインパクトを残した、と言い切るのは難しいのですが、積み重ねとして、また制度としては非常に重要だと思っているので、必ず必要だと考えています。(齋藤さん)

生協の運営には、学生の声を聞きながらより利用しやすい形に整えていくという姿勢が見られました。その中でも、学生や教職員からの営業時間拡大の要望に応える形で始まったのが購買の無人営業です。次に、その仕組みや運営方法について伺いました。

購買の無人営業とはなにか教えてください。

理学部、農学部、歯学部、薬学部、医学部保健学科などに小さな店舗があるんですけれども、24時間の無人営業を始めました。

理由としては、まず学部にいる上級生は、やっぱり夜遅くまで研究するっていう人が少なからずいるので、昔から営業時間をもっと長くしてほしいってずっと言われていたことがあります。だけど無人営業が始まるまでは北部店より先に閉まっていた。それは理由として、やっぱり人を置けるか置けないか、人件費をかけられるかどうかっていうことがすごく大きな問題でした。が、無人営業という形態を導入することで、営業時間をすごく伸ばすことができました。それは組合員の方にも非常に喜ばれてはいるところです。(齋藤さん)

(24時間の無人営業中の理学部スモールショップ)
無人営業の店舗はどのように運用されているのですか。

無人営業中の店舗では、生協電子マネーのみで支払うことができます。現金・クレジットカード・PayPayなど、さまざまな支払い方法を望む声があることは分かっていますが、支払い方法を制限してでも24時間営業を実現したほうが組合員の利益になる、と判断しました。(齋藤さん)

(インタビュー風景)

生協組織の運営について伺う中で、生協が大学に必要なサービスをどう維持していくかという難しさが見えてきました。次に、他大学の生協との違い、そして生協が抱える経営の課題について伺いました。

北大生協と他の大学の生協の違いは何ですか?

学部の中に小さい食堂がいくつもあるのですが、それは全国でも結構珍しいんです。雪が降るので、例えば農学部の学生が中央食堂とかクラーク食堂に行けるのかというと、そうではない。だから、小さな食堂がたくさんあります。各学部ごとに小さい食堂を置くことは、北大生協ができてからずっと頑張ってきました。(齋藤さん)

それでは、生協の経営において、難しいことはありますか。

解決しないといけないと思っているけれども、すごく難しいと思っているのが、本屋さんの問題です。学生が本を読まなくなったかというより、いろいろな読み方が増えました。紙で読む以外の読み方がたくさんできたので、紙の本を中心とする本屋さんを取り巻く状況は厳しくなっています。それは学生が読書をしなくなったかどうかとは関係ありません。街に一つも本屋さんがないという地域も生まれている状況の中で、大学の中にこれだけの本屋さんを維持するというのは、非常に難しくなっています。

それに、専門書を扱う、しかも、北海道大学の研究をしている、その研究の専門書を扱えるのは、本当は北大生協しかないはずなんだけれども、維持が大変で。維持すると赤字になって他のサービスが悪くなってしまう、という状態をどういうふうに解決していくかが非常に難しい問題です。やめることは簡単なんだけれども、すぐにやめるとなった時には、生協への信頼もなくなってしまう可能性もあるし、だけど、他に守らなければいけないものもあるし、ということで、非常に悩みどころです。(齋藤さん)

生協の運営におけるやりがいを教えてください。

協同組合というのは、結局最終的に人とどう関わっていくか、どれだけ関わってくれる人を増やしていくかということを、ずっと考えているなと思っています。人と人とが協力し合える環境をどれだけつくれるかが大事で、それを大学生協という場で実現していきたいと考えています。

生協は、組合員の皆さんに協力をお願いする立場です。けれど、それは強みにも変えられると思っていて、組合員の方と協力して店舗をつくっていける。無人営業の実現は、そのよい例だと思います。

学生や教職員の方が生協というプラットフォームを通じてコミュニティをつくり、人が人のために協力していく環境を、少しでもつくりたい。そうした思いが、今のやりがいにつながっています。(齋藤さん)

(北大生協専務理事の齋藤さん)
齋藤さんから私たち北大生に伝えたいことはありますか?

生協とかあまり関係ないんですけど、たくさん友達を作ってほしいなと思います。せっかく大学に来れる貴重な4年間とか6年間なので、たくさん大学に来る理由を見つけてほしいなと思っています。卒業したら勝手に大学には来れないですから。(齋藤さん)

最後に、生協の3年後の展望を教えてください。

現実的に考えられる展望として、1年生の時から卒業までちゃんと支え続けられるような状態にしたいと思います。新入生向けの対応は体制も構築でき始めているんだけれども、卒業、院進などのターニングポイントが他にもいくつかある中で、そこの支援をしていきたいなと思います。また、経済的に本当に困っている学生に対して、いろいろなところと協力をして支援できないか、模索しています。(齋藤さん)

(インタビューの最後に、並んで集合写真を撮りました!)

入学してから当たり前のように利用してきた生協。しかし今回お話を伺って、その当たり前の裏側には、学生や教職員の生活を支えるための多くの工夫や判断があることを知りました。身近だからこそ見過ごしていた生協の姿を、これからは少し違った目で見てみたいと思います。

この記事は、山田智哉(総合理系1年)、永見みずほ(教育学部1年)、細田総司(法学部1年)、大坂亮介(総合理系1年)、大坪萌々葉(工学部1年)が、主題別科目「北海道大学の”今”を知る」の履修を通して制作した成果です。

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