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#250 魚の鮮度が一目でわかる?!夢の装置MIRASAL!〜研究への一貫した想いと学生の力~(後半)

前半では、魚介類の鮮度をリアルタイムで見える化するシステム「MIRASAL」の開発秘話や、その着想のきっかけ、開発に込められた思いについてご紹介しました。

しかし、インタビューを通して私たちが驚いたのは、MIRASALだけではありませんでした。

北海道大学工学研究院附属エネルギー・マテリアル融合領域研究センター、エネルギー変換システム設計分野の坪内直人さんは、炭素資源や鉄鉱石、CO₂の再利用技術など、一見すると異なる分野の研究にも数多く取り組まれています。

なぜ、これほど多くの研究が一人の研究者によって行われているのだろう?

その答えは、「すべての研究は一本の道でつながっている」という坪内先生の考え方にありました。

後半では、研究テーマが生まれるプロセスや研究を続ける原動力、学生への思いなど、MIRASALの開発秘話を超えた、研究者・坪内さんの素顔に迫ります。

【吉野由唯・法学部1年/伊東大峨・経済学部1年/川和瑶平・医学部1年/佐々木仁瑚・総合理系1年/田中渉太郎・総合理系1年】

研究室での人との関わり

研究内容はどういったプロセス・理由で決められているのですか?

「全部繋がっているイメージです。僕の中では。」

どの研究内容も好奇心からではあるものの、始まりである炭素資源、石炭の有効利用から繋がっているのだと教えてくださいました。

酸性雨は、硫黄や窒素の酸化物が原因の問題であり、石炭の有効利用の研究と言いながらも、環境面ではそれらを除去することと繋がっています。また製鉄で石炭が使われている流れで、鉄そのものにも興味が出てきたそうです。


自身の研究について熱心に語る坪内さん

 一つの研究をしながら、そこで見つけたことが、こういうことに生かせるんじゃないかと繋がっていくということですか?

「そうそうそう、うん。基本的には最初にやった研究がずっと続いていて、増えていっているっていう感じですね。」

私たちからみると、坪内さんはさまざまな研究をされているイメージでしたが、「確かにいっぱいやっているんだけど、急にポンというよりは、徐々に関連しているのが増えていっているっていう感じ」なのだと説明してくださいました。

研究の原動力や、研究職で楽しいなと思う瞬間は何ですか?

「皆さん言われることなんでしょうけど、自分が立てた仮説が違ったらがっかりするし、当たってればよっしゃーってなる。」

失敗してもそこから新しいことがわかることも事実であり、それが原動力でもあるそうです。

「あとは意外と学生さんの力って大きいですよね。
学生さんがこれやってみたい、こういう風に考えてるんだけどどう思う?っていう風に我々のお尻を叩いてくれると、こんなやる気ある学生がいるのか、自分もやるぞっていうふうにはなりますよね。だから若い力ってすごいと思いますよ。」


研究の楽しさを語る坪内さん

どのような人材が研究室に来てほしいですか?

「とにかく好奇心の強い子が欲しいですね。」

年齢が高くなるにつれて、好奇心が薄れていったり、物事について『こういうものだろう』と考えるようになっていきがちです。だからこそ、小さいころのような、『なんで?どうして?』とたくさんの純粋な疑問を持ち続ける、好奇心旺盛な学生に研究室に来てほしい、と坪内さんは語ります。

坪内さんは、今の研究室の学生のことも踏まえてお話されました。
研究室では、CO₂を有用な化合物やメタン燃料などに変換する技術も研究されており、触媒を開発し、大学で特許出願もされています。坪内さんが指導教員にあたっている学生は、もともとの研究テーマもやりながら、この触媒を使い水素を燃焼させてサウナを作るというアイディアを出し、実際にサウナ作りも行っているそうです。

「好奇心がなかったらそういうことを調べるとかもしなかったでしょうし。そういうことを積極的にできる学生さんっていうのは、教員にとっての刺激になるし、研究室にも来てほしい。」

学生へのメッセージ

 これから研究者になろうと思っている学生の方々へ、高校生、 大学の学部生の間にした方がいいことなど、アドバイスをください。

「僕はたまたま研究のきっかけが炭素資源をどうにかしたいなっていう、パッと地元の地域の中の課題でそういうふうに思ったんですけど、そういう機会がない学生さんだって、当然たくさんいらっしゃると思うんですよね。」

高校生であれば、全国の大学の先生の何名かがオンラインで講義するWebサイト(ゆめナビなど)を見るなどして、自分の興味がありそうなところを絞っていくことが有用だと坪内さんはおっしゃいます。なんと今年度は坪内さんも講義されたそうです。

「北大の学生さんに関してはもう入学してしまって、 学内の情報っていうのは、いっぱい入手できる状況なんですよね。どの研究室もホームページに載っていて、何でも先生に聞けるわけじゃないですか。ほとんどの先生のメールアドレスが書いてあって、 こういうことに興味があるけど見学したいとか、そういうコンタクトを積極的に取らないと、受け身でいると、『あれ、違ったな』『やっぱ研究やめよう』という風になっちゃうと思うので、皆さんのように一年生のうちから積極的に動くっていうのは非常に重要かなと思います。

あとは学問に関しては、これもどの先生も言うと思うんですけど、やっぱりいろんなことを勉強した方がいいです。

研究し始めて、『あ、ここの部分全然勉強してなかったや』って、そこで勉強するっていうのもありなんですけど、すごい遠回りになってしまう。あと、頭もどんどんどんどん硬くなってくるんで、覚えも悪くなるから、今のうちにいろんなことを勉強して、深くまでできなくても、このことに関してはこの教科書のこのページに書いてあるな、ぐらいまでパッと出てくるまではやっておいた方がいいと思いますけどね。結局それが全部複合化されて研究が成り立つっていう感じなので。」


高校生に向けた熱いメッセージを話す坪内さん

生まれ変わっても研究者になりたいですか?

「大学の基礎研究って実装されるのにやっぱ何年もかかるじゃないですか。その時僕は死んでいるかもしれないから、それなら会社に入って、来年、再来年から売っていきたいっていうものを集中的に研究するっていうのも面白いかなと思う。」

来世でなりたい具体的な職業はわからないものの、研究職も選択肢の1つではあるといいます。
坪内さんは現在アカデミックなことを中心に取り組みながら、開発や教育にも携わっていらっしゃいます。もし生まれ変わって研究者になるなら、大学の基礎研究は実装されるまで長い時間がかかるため、企業の研究職に就き、自分の作ったものがそのまま売れるのを見てみたいそうです。


にこやかにインタビューに答える坪内さん

今回、私たちはMIRASALの研究を通して、坪内さんから、大学での研究がどのようなものであるのか、先生の研究への取り組み方、研究に関わる学生のあり方についてお話を伺いました。

インタビューの節々から、問題を解決し世の中に役立つ研究をすることを大切にする坪内さんの思いが伝わってきました。
多岐にわたるように見えた研究内容も、坪内さんの研究の出発点である「炭素資源を有効活用したい」という、出身地を想う気持ちから繋がって広がっていったものでした。MIRASALも、そうした社会貢献への思いもあって開発されました。
研究を通じてどのように社会貢献をしていくのか、坪内さんは私たちに教えてくれました。

また、研究における好奇心の大切さについても学びました。
今、この記事を読んでくださっている方のなかには、まだ大学でどんなことをしていこうか悩んでいる高校生もいるかもしれません。
まずは好奇心を忘れずに広く学問に取り組んでいくことが、きっとその答えを見つける近道になるでしょう。

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2026.10.07

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