北海道大学は昨年の12月に、北大進学を目指している高校生5名をインターンシップ生として受け入れました。アテンド役は現役の大学院生たち。進路としての大学はもちろん、研究者を目指している大学院生とのコミュニケーションを通じて「職業人としての研究者」について考えてもらうことがねらいです。高校生にとっては大先輩である大学院生にキャンパスの各所を案内してもらったり、附属図書館の見学をしたりしながら貴重な経験を積むことができたようです。3回シリーズで高校生のみなさんの体験記を紹介します。本日はその最終回です。
「これを機に、アイヌ文化や北方領土について学びたい」/レポート:浅羽純玲(北海道登別明日中等教育学校4回生)
最初に2階の北方資料閲覧室を見学した。そこには、シベリア兵や樺太についてなど北海道との関わりが深い資料が約8千冊あった。日本各所にあった資料や本を一つにまとめるために北海道大学に集められたそうだ。中には外国語で書かれたアイヌ語の文法書などもあり、日本人でも知る人の少ないアイヌのことについて外国の人が学んでいたことが不思議に感じた。
奥に進み、貴重資料室に案内された。そこは北大生でも入ることのできない部屋があり、入るときには靴にカバーを付けた。古い資料や写真はキャビネットに保管され、その一つ一つに鍵が掛けられていた。その厳重さには驚いたが、何百年も昔に書かれた物をいつまでも閲覧できるようにするための工夫なのだと感じた。次に書庫を見学した。そこには北海道にゆかりのある新渡戸稲造先生が購入した本がぎっしりと並べられていた。本好きだったという新渡戸先生は自身が買った多くの本に日付と名前を記していたそうだ。また、奥さんのメリーさんがメモをした本も何冊かあった。私は新渡戸先生の真面目な性格に驚いたが、それよりもこの時代で国際結婚をしていたということにより驚いた。
貴重な資料もいくつか見せて頂いた。寛政の時代に描かれたという本の挿絵は青や黄などカラフルで古い時代に描かれたものとは思えないほど色が綺麗に残っていた。本の扱い方も特別でページとページの間に指を入れ、直接触れないようなめくり方だった。これを機に、アイヌ文化や北方領土について学びたいと思った。
「驚きの連続!」/レポート:角田和真(北海道登別明日中等教育学校4回生)
私たちは北海道大学を訪れました。事前に図書館へ行くことは知っていましたが、書棚見学するのかな…程度の予想しかしていませんでした。北大正門前で記念撮影を済ませ「北海道大学附属図書館本館」へ向かいました。最初に衝撃を受けたのは建物の大きさです。私たちの学校は確かに小さいのですが、比べ物にならない規模だったのです。
本館の中では職員の一戸さんの解説を受けました。そこでも様々な驚きがありました。北大には本館も含めて18か所に図書館があること、この本館には、開架書架に130万冊、自動化書庫に30万冊、北方資料室に5000冊、計172万冊もあることなどです。
さらに開架書架の奥へと案内してもらいました。自動化書庫のシステムを見学するために「staff only」と表示されたドアを開けて地下室へと進みました。すると、天井高も広さもあるスペースに大きな機械があり、その存在感に圧倒されましたし、その大きな機械が本を出し入れしている様子を目で確認して感動しました。私たちだけでなく一緒に来てくれた大学院生の方々も大変興奮している様子でした。
次に、誰でも利用できるスペースを案内してもらいました。静かなイメージのある図書館なのに、多くの学生が会話や打ち合わせをしていたり、PCを使って作業をしたりしていました。別の階へ行くと、逆にとても静かな空間が用意されていました。サイレントエリアと呼ばれ、PCや電卓を打つ音、さらには、筆音を押さえるように下敷きがあるなど、静かな空間を生み出すための工夫が徹底されていました。
最後に、北方資料室を案内してもらいました。そこには、昔の北海道や極東の記録や資料がたくさん保管されていました。奥には貴重資料室と呼ばれる2つくらいカギがかかった部屋がありました。中へ入る時は埃が入らないように靴にカバーをする徹底ぶりでした。今回はその本や資料を手にとって見るなど貴重な体験もできました。
今回、北海道大学の主に図書館を見学させていただきましたが驚きの連続でした。国立大学の見学は初めてで、私が知っている私立大学との規模の違いにも驚かされました。改めて、北大に行きたいという思いが強くなったし、今度は自分でオープンキャンパスに行こうとも思いました。