11月18日、国連寄託図書館である北海道大学附属図書館と国際協力機構(JICA)が主催する、第6回国際協力カフェ「見た! 住んだ! 変わりゆくアフリカの今」が、附属図書館本館で開催されました。
語り手は、2011年から2年半、理科教員として青年海外協力隊としてマラウイ共和国に赴任した、古澤輝由さん(科学技術コミュニケーション教育研究部門 CoSTEP)と、先月「国際協力レポーター」としてアフリカのセネガル共和国に1週間滞在し、政府開発援助(ODA)の現場を実際に見て歩いてきた、芹沢領さん(農学院修士2年 CoSTEP修了生)です。聞き手を務めるのは友成晋也さん(JICA北海道次長)です。いったいどのようなトークが展開されたのでしょう。
(右から友成晋也さん、古澤輝由さん、芹沢領さん)
古澤さんが赴任した、アフリカ大陸の南東部に位置する、マラウイ共和国は、世界の最貧国の中の一つです。1人当たりのGDPは約230ドル、電気・水道の普及率は10%を下回り、平均寿命は47歳と聞くと、私たちは「アフリカの貧しさや悲惨さ」を思い浮かべるかもしれません。しかし、古澤さんは、そこで出会った、誰にでもきさくに声をかける人々のふるまいに、日本にはない温かさ、やさしさを感じたと言います。普段の授業に加えて、サイエンスクラブの設立や、演劇を用いた理科授業を行ってきた古澤さんは、これらの経験を通じて、現地の状況に合わせた開発や援助の必要性を感じるようになったそうです。
(親指を立てて「ボゥ」これはマラウイで「元気?」という挨拶)
芹沢さんが訪れたセネガル共和国は、サハラ砂漠の西南端に位置します。首都のダカールはパリ・ダカールラリーのかつての終着点として、日本でもよく知られています。実は、今回のアフリカ行きが初めての海外経験だったという芹沢さん。現地で働く日本人に会って話を聞く中で、砂漠で稲作の生産支援をしていた方が、同じ高校出身だったということもあり、ぐっとアフリカを身近に感じたといいます。そして、今後は研究をベースにして、国際協力にかかわっていきたいと話してくれました。
(芹沢さんは初海外の経験をいきいきと語ってくれました)
友成さんは、指標でみるアフリカと題して、アフリカの現状についてお話をしてくれました。初等教育の就学率は1990年以降大きく改善し、75%まで上昇し同時に、識字率も高まりました。一方、乳幼児死亡率や栄養不足人口の割合は低下しています。現在の経済成長率は5%ほどで、経済成長を続けているそうです。日本政府は、1993年から、アフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development; TICAD)を開催しています。今年はTICAD VIがアフリカで開催されました。今後も、日本とアフリカの友好・協力関係を深めていくことが大切だと語っていました。
(三人のトークが続きます)
トークの後は、質疑が行われました。アフリカの負のイメージを払拭するためにはどうしたらよいのか、という質問に対して、三人が、実際に現地にいって自分の目でみる、そして自分の経験を伝え、話を聞いた人がアフリカについて情報を集めるきっかけ作りを行うことが大切と答えていたことが印象的でした。
(カフェの後も熱心な質問がつづきました)
国際を肌で理解するためには、実際に現地を訪れ、そこで暮らしてみることが大切だということが伝わるカフェでした。
(会場にはお二人が紹介したアフリカに関係する書籍が展示されていました)