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#11 近藤肇さん(北海道放送アナウンサー・気象予報士)

工学部出身の近藤肇さん(北海道放送アナウンサー・気象予報士)は、テレビ番組『今日ドキッ!』の気象キャスターを務め、平日15時50分から19時までの番組中に3回、天気予報のコーナーを担当しています。「都ぞ弥生」の誕生100年を記念したドラマ『清き國ぞとあこがれぬ−ウィリアム・S・クラーク博士の魂を謳う−(北海道放送 制作)』のナレーションも担当しました。その近藤さんに密着取材し、お話を伺いました。

理系(工学部)出身ですが、アナウンサーになったきっかけを教えてください。

大学では衛生工学を学んでいました。修士課程に進学し、1年を終えてすぐ1年間休学してデンマーク工科大学に留学しました。そのときの非日常的な体験は全てが新鮮で、そこで見聞きしたことや学んだことを、家族や友人知人に紹介するうちに、いつのまにか「伝える喜び」を感じるようになりました。実は博士課程にも進んだのですが、研究者という、自分と向き合う職業よりも、広く社会と関わる活動が自分に向いているのではないかと考え、アナウンサーの採用試験を受けることにしたのです。幸運にも試験に合格し、以来HBC(北海道放送)のアナウンサーとして仕事を続けてきました。

(外から中継を通して札幌市内の様子も伝えます)

現在は気象予報士としてご活躍されていますね。

アナウンサーとしての経験を積みながら、自分の強みを持ちたいと考えるようになりました。声によってニュースを正確に視聴者に届けることは重要な仕事ですが、それとは異なる専門を身につけたかったのです。それが気象予報士でした。30代で初めて国家試験である「気象予報士試験」に挑戦しましたが、失敗しました。しかし、そこで諦めず、仕事をしながら試験勉強に励み、3回目の挑戦で合格することができたのです。嬉しかったですね。当時は一つの資格でしかなく、積極的に仕事に生かせるとは考えていなかったのですが、2006年に新設された夕方のニュース・情報番組で気象キャスターを任され、以来天気予報のコーナーを担当するようになりました。

衛生工学科で上水工学の講義をしてくださった、元総長の丹保憲仁先生の言葉が今でも心に残っています。「一つの専門だけのT型人間よりも、少なくとも二つの専門を持つΠ(パイ)型人間になってください。」Π型人間…いまでいう二刀流ですよね。丹保先生は今の私をどのように評価してくださるでしょうか。いつかお会いして報告したいです。

 

現在は「ウェザーセンター」というセクションに所属しているそうですね。

HBCのウェザーセンターは気象情報を専門に扱う部署で、スタッフ6名(内、気象予報士は5名)がいます。HBCは気象庁から「気象予報業務許可事業者」の認可を受けています。これは、気象庁の予報官が扱っているデーターと同じものを利用して、独自予報を出してよいという国の許可です。実は道内の放送局で、この独自予報を出せるのはHBCとほか1局だけ。ほかの放送局は、気象台や民間気象会社の予報をそのまま放送しています。

例えば、気象台が出す3時間ごとのポイント予報は、「雨マーク」や「曇りマーク」など、どれか一つのマークで表現されます。1mm未満の雨が降るとわかっていても「曇りマーク」だけで表現します。「雨マーク」は1mm以上の雨と決まっているからです。

でもHBCは「曇りマーク」のわきに小さな「雨マーク」を加えるなど、市民感覚により近い「ニュアンス」を表現しようと心がけています。天気予報というもっとも身近な生活情報を「きめ細かく、そしてタイミングよく」を念頭に発信し続け、道内で最も気象情報に強いメディアというブランドを維持しています。

(刻々と変化する天気図を確認しながら台本を構成します)

近藤さんのこだわりを教えてください。

天気とのつながりを広げ、空や宇宙に思いを馳せることは楽しい科学です。生活情報としての天気予報だけでなく、視聴者のみなさんの新しい発見につながる科学をプラスしたいと心がけています。例えば「国際宇宙ステーション」を地上から肉眼で見ることができる時間帯があり、その情報を紹介するコーナーを企画しました。すると、放送翌日に「あんなきれいな光を初めてみました」といった声が多数寄せられたのです。感動や発見をより多くの方と共有できるニュースをこれからも提供していきたいと思います。

(スタジオから生放送)

(放送終了後、スタッフ揃った反省会でのふり返りを次の番組制作に生かします)

最後に北大生へのメッセージをお願いします。

今年の5月に放送されたドラマ『清き國ぞとあこがれぬ−ウィリアム・S・クラーク博士の魂を謳う−』をご覧になった方も多いのではないでしょうか。実はナレーションの台本を読んで、改めてクラーク先生の崇高な精神に感銘を受けました。貴とき野心とは、私利私欲や名声のようにはかないものではなく、世のため人のために尽くそうとする大志のこと。先輩たちが築き上げた学舎があってこそ、現在のキャンパスがあるわけですから、貴重な10代後半から20代を北大で過ごすのであれば、代々受け継がれてきた精神を大切にしてほしいですね。

もう一つ。札幌は190万の人口を抱える大都市です。それでいて年間に500cm以上の雪が降る100万都市は、世界を見渡しても札幌だけ。厳しい自然環境と共に生きる190万都市は、存在自体がパイオニアであり、フロンティアスピリットの表れだと考えています。半年間雪に閉ざされる土地ではありますが、厳しい自然は人間のおごりをリセットさせたり、謙虚さを教えてくれたりします。北海道で過ごした経験を糧にして、社会で活躍してほしいと期待しています。

(同僚で気象予報士の粥川暁さん;左と、森山知洋さん;中央)

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2013.12.06

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