北海道大学入試改革フォーラム2017「高校・大学・社会をつなぐ大学入試を目指して」が5月22日に行われました。
本フォーラムでは、現在まさに議論が進んでいる大学入試改革の現状と、北大が目指す入試改革の実態が語られました。
まず、名和総長より、北大が優秀で多様な人材を確保するために、多面的、総合的な評価を行う入試改革の必要性が語られました。
(開会の辞を述べる名和総長)
その後、大学入試センター試験・研究統括官である大塚雄作さんから、5月16日に文部科学省より公表されたばかりの「高大接続改革の進捗状況について」の説明がありました。新しい入試改革は、高校までの多様な学びを、どのように大学入試の評価に結び付けていくのか、が焦点です。そして、ただ学んだ知識を問うだけでなく、どのように学んだのか、そして何ができるようになったのか、資質や能力も含んだ評価を目指しています。
現在、新渡戸カレッジフェローであり、元トヨタ・トルコ製造(株)社長の小林浩治さんはグローバル社会においては表面的な技能だけでなく、実務能力や教養、そして人間性など中身を伴った人材を育成しなければならないと訴えます。
このような社会的背景を受けて、北大は新たな高大社接続型入試改革に乗り出しています。高等教育推進機構の池田文人さんは、北大版コンピテンシー、つまり北大が求める人材像を具体化し、高校での多様な活動を北大版コンピテンシーに当てはめて評価する、未来型人材育成選抜試験の枠組みを提示しました。これまで入試の成績だけで測定していた入学者の選抜を、幅広い尺度で捉え直そうとする改革です。
(北大の改革案を語る池田さん)
そのような大学側の改革を受け、高校側の視点から、前清水高校長の西嶋潤一さんは道内の高校と北大の関係について紐解きました。現在、道内の高校生の北大進学率は下がってきており、北大は無理だと初めから諦める高校生も少なくないといいます。しかし、「北大in旭川」など具体的に大学の活動に触れさせる経験を通して、大学で学びたいという意欲を高めることが重要だと西嶋さんは語ります。
最後のパネルディスカッションでは、大塚さんからは、北大らしさを生かした入試改革を!というエールが送られました。また小林さんからは、チャンスを与える教育が重要である、と述べられました。そして西嶋さんからは、北大一丸となった改革になることが高校側からの要望として寄せられました。
(多彩なパネリスト)
各パネリストからの要望を受け、最後に北海道大学理事・副学長である長谷川晃アドミッションセンター長は、北大の「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」及び「実学の重視」という建学の精神があるということがとてもラッキーなことである、と指摘しました。これらの建学の精神を現代的な意味で捉え直し、受験生、そして社会に開いていくことによって、北大の改革が進んでいくのではないか、そう述べ、北大の入試改革にむけ意欲を述べられました。
(閉会の辞を述べる長谷川アドミッションセンター長)
入試は北大の顔の一つである、高等教育推進機構の鈴木さんはそう語られたそうです。どのような顔で未来の北大生を迎え入れようか、全学的な議論が始まりました。