2017年の文化功労者の一人に、本学の喜田宏さん(人獣共通感染症リサーチセンター統括/ユニバーシティプロフェッサー・名誉教授)が選ばれました。本日、東京都内で式典が開催されます。「文化功労者」は文化の向上発達に関し特に功績顕著な方を顕彰することを目的とし、文部科学大臣が毎年決定しています。喜田さんは春にも瑞宝重光章を受賞しており、今年2度目の顕彰となります。
喜田さんは、北大獣医学部・獣医学研究科で学び、その後も北大で長年にわたり教育・研究に携わってきました。専門はウイルスと人獣共通感染症で、特に、インフルエンザウィルスの感染経路と新型ウイルスの発生メカニズムを明らかにした研究が有名です。
新型インフルエンザは、毎年冬に流行する季節性インフルエンザと異なり、ヒトが免疫を持たないため、世界的に大流行して大きな被害を与えます。喜田さんはその解明にとりくみ、シベリアにすむ野生の渡りガモから中国南部のブタへウィルスが感染し、さらにそのブタがヒトインフルエンザにも感染することで、新型のヒトインフルエンザウイルスが生まれ、それが世界的な大流行を引き起こすことを明らかにしました。現在も、喜田さんが統括を務める人獣共通感染症リサーチセンターでは、多くの研究者や学生が研究を進めています。
(喜田さんの筆による人獣共通感染症リサーチセンターの看板)
これまでの北海道大学出身・在職者の文化功労者は以下の通りです。
受賞年・敬称略氏名(生没年)・専門
1951年・木原 均(1893~1986)・植物遺伝学
1954年・松村松年(1872~1960)・昆虫分類学
1960年・岡 潔*(1901~1978)・数学(多変数解析函数論)
1964年・茅 誠司*(1898~1988)・磁性物理学
1976年・坂村 徹(1888~1980)・植物遺伝学
1995年・高橋萬右衛門(1918~2004)・植物育種学
2003年・伊福部 昭(1914~2006)・作曲
2010年・鈴木 章*(1930~)・有機化学
2013年・山岸俊男(1948~)・社会心理学
*文化勲章と同時顕彰