例年、10月末に実施される北大金葉祭では、北13条門からメインストリートに続くイチョウ並木のライトアップが行われ、多くの市民や観光客で賑わいます。しかし今年は様子が違います。感染症対策のためライトアップは一般公開せずに、その様子を動画で配信することになりました。今回、ライトアップ動画の配信に関わった、北大金葉祭実行委員会の3人の北大生に話をききました。
金葉祭に関わるきっかけ
北大金葉祭は今年は第9回の開催です。札幌出身の東尚宏さん(法学部2年)は、入学前にもしばしばキャンパスを訪れ、イチョウ並木の紅葉を楽しんだことがありました。しかし、新歓で金葉祭について聞くまで、秋にライトアップを行っていることは知らなかったそうです。中学校時代に生徒会に所属、高校時代は放送局に所属し、生徒会と協力して行事運営に携わっていた東さんは、身近にある新しいイベントに興味を持ち、自分も参加してみたいと考えるようになったそうです。
実行委員会の代表を務める千葉県出身の正村海登さん(理学部2年)は、大学で何かやりたいと思っていたなかで、30人ほどのメンバーのアットホームな感じや、新入生にも態度を変えないフレンドリーな先輩のふるまいがちょうどよかったといいます。
今イベントを行う意味
新型コロナウイルスの感染がなかなか収束しない札幌で、人が集まるようなイベントを行うことについては、様々な意見があります。実施を自粛するべきという考え方もあるでしょう。なぜ今、ライトアップを行うのかを率直に尋ねました。石川県出身の出村萌々香さん(工学部2年)の答えは「負けたくなかったから」。前期の講義は全面的にオンラインとなり、日常の外出も気兼ねなくできなくなりました。コロナの影響で社会全体が閉塞する感じを打ち破りたかったと語ります。コロナを含む、今の現状をなんとかしたいという気持ちが伝わってきました。
イベント実施と感染症対策
今回の金葉祭は新型コロナウイルスの感染拡大を避けることを第一にして進められました。準備のためのスタッフのミーティングも、対面でのミーティングは広めの会場で必要最小限の回数にとどめ、ほとんどをオンラインで行いました。イベントに人が集まることを避けるために、事前に告知を行わず、ライトアップの実施も伏せたそうです。リアルに人を集める代わりに、ライトアップの様子を撮影・編集し動画で配信することで、全国の人に金葉祭を感じられるようにしました。このようなイベントは、もしかしたら、今後一つの形式となっていくかもしれません。
配信動画の見どころ
今回の動画の見どころについて聞きました。出村さんの一押しはオープニング。夜のとばりにつつまれた、真っ暗なイチョウ並木が一斉にライトアップされて、金色に輝く瞬間です。東さんは、VR(ヴァーチャル・リアリティ)用のゴーグルがなくても、13条通りのイチョウ並木の中にいる感覚が味わえる、360°カメラで撮影された動画を紹介してもらいました。正村さんは、光で照らし出されたイチョウ並木の様子を見た人が、前向きな気持ちになってくれたらうれしいと語ってくれました。
動画を届ける想い
全国で再び新型コロナウイルス感染症が流行の兆しを見せている中で、私たちは日常生活を送っています。マスクや手洗いなどの身近な予防、そして適度な運動や食事、睡眠による体力づくりが大事です。しかし感染症対策はそれだけではないと思います。それは現状をなんとか改善したいという気持ちや、あるべき未来への希望です。今回の、ライトアップ動画に込められた学生の皆さんの想いを、是非感じてみてください。
最後に、今回の金葉祭の実施には、市民活動を支援する、札幌市さぽーとほっと基金と、北大の学生の活動を促進する、北大元気プロジェクトによる助成がありました。多くの人びとが、北大の学生の活動を支えてくれています。そのことに、北大金葉祭実行委員会のメンバーは感謝の気持ちを隠していませんでした。