審査委員の評価
グッドデザイン賞の審査は部門ごとの審査委員が行うことになっています。CoSTEPが応募した「地域・コミュニティづくり/社会貢献活動」の選考は以下の5名が担当してくださいました。
- 山崎 亮 氏/東北芸術工科大学デザイン工学部コミュニティデザイン学科 学科長
- 南雲 勝志 氏/ナグモデザイン事務所 代表
- 上田 壮一 氏/多摩美術大学 客員教授
- 横川 正紀 氏/株式会社ディーンアンドデルーカジャパン 代表取締役
- 色部 義昭 氏/日本デザインセンター 色部デザイン研究室 主宰
以下は審査委員による評価コメントの引用です。特に教育面での成果を評価されている点が印象的でした。また、CoSTEPの特色のひとつであるデザイン性の高さにも言及されており、細かく審査の目が行き届いていたのだということを強く感じました。
“各地でサイエンスカフェは行われているが、学生が主体となることで実践的な学びの場となっていること、地域に根ざしたテーマを積極的に取りあげることで、大学と地域を結ぶ試みになっていること、さらにはウェブサイトを通じた情報コミュニケーション、受講生による自発的なサイエンスカフェの実施など、質を向上させながら10年以上継続している点が高評価となった。各回のフライヤーやポスターのデザインにも、タイトル付けからグラフィックに至るまで参加者目線の工夫が随所に見られ、ありきたりなサイエンスカフェから一線を越えていこうというデザイナーの想いが溢れている。”
(サイエンス・カフェ札幌のポスター。その高いデザイン性も審査委員の評価ポイントとなった。)
受賞展を教育活動の場に
グッドデザイン賞では受賞作品を一同に介した受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION」を東京都港区の東京ミッドタウンで毎年開催しています。今年は10月30日~11月4日の日程で行われました。会期中は多数の修了生や関係者にご来場いただき、CoSTEPの展示スペースは終始賑やかで、これまでサイエンス・カフェ札幌が紡いできた人と人の強いつながりを再確認する場となりました。
(東京ミッドタウンで開催された、「GOOD DESIGN EXHIBITION2015」のサイン)
(受賞展会場の入り口の様子。ミッドタウン・タワー5Fのデザインハブにて)
(CoSTEPの受賞作品「触媒としてのサイエンス・カフェ札幌」のパネル展示)
また、CoSTEPが実施している「リサーチ&ライティング実習」にて、受賞展を取材する機会を設けることで、受賞展そのものをCoSTEP受講生の教育活動の場として活用することもできました。具体的には、実習を希望した受講生4名(今井奈央子さん、間冬子さん、道林千晶さん、奥聡史さん)に、「グッドデザイン賞と科学技術コミュニケーション」というテーマのもと、科学技術とデザインを融合させた受賞作品が製品化された背景やコンセプトを調査し、デザイン分野における科学技術コミュニケーションの意義や、将来的にもたらされる社会的な影響および新たに生まれるコミュニケーションの可能性を考察してもらいます。
(審査委員の南雲勝志先生、「リサーチ&ライティング実習」の受講生、CoSTEPスタッフで記念撮影)
参加してくれた受講生はいずれもCoSTEP選科Bの受講生であり、10月にライティングスキルを学ぶ3日間の集中演習を終えたばかりの状況だったため、本実習は実践的なアウトプットを行う腕試しの場として絶好の機会となり、4人とも受賞展での取材を意欲的に行っておりました。各展示スペースを丁寧に見学し、関係者がいればすぐに声をかけて、作品のコンセプトを熱心に聞いていました。
4人の中で唯一、取材対象そのものをサイエンス・カフェ札幌にした、奥聡史さんの取材の様子を紹介します。札幌在住の奥さんは現地入りする前から資料を集めたり、CoSTEPの現役スタッフに取材したりして、準備に余念がありませんでした。現地入りしてからは、元・CoSTEPスタッフの隈本邦彦さん(現・江戸川大学メディアコミュニケーション学部 教授)にも取材をし、可能な限り多くの関係者の言葉を集めて、過去から現在までのサイエンス・カフェ札幌を理解しようと努めていました。
なお、本実習の成果はCoSTEPレポートやCoSTEP公式サイトにて発表予定で、前者については北海道大学学術成果コレクション「HUSCAP」への登録を行います。
*グッドデザイン賞の受賞報告は全3回の連載となります。第3回目は「総長への受賞報告と新たな対話の場づくり」です。