黒岩麻里さん(理学研究院 生物科学部門生物科学分野 准教授)が『男の弱まり〜消えゆくY染色体の運命〜』(ポプラ社/780円税別)を出版しました。2年前の2014年にも『消えゆくY染色体と男たちの運命〜オトコの生物学』(秀潤社/1600円)を発表し大きな話題を呼びましたが、今回はより易しい表現にしようと再編集し、新しい話題も3章分加えました。
前回秀潤社から出版した本を読んだ編集者の斉藤尚美さん(ポプラ社)から一通のお手紙が届いたことが執筆のきっかけとなったそうです。斉藤さんは文系出身の編集者として活躍されていますが、黒岩さんが理系の一般書として発表した『消えゆくY染色体と男たちの運命』に感動。「初めて生物学に納得できたので、児童文学も手がけているポプラ社から新書として刊行させて欲しい」とその手紙に綴られていたそうです。
タイトルは今回もドキッとしますが、執筆依頼が来る前から決まっていたとか。「男が弱まる」ではなくて「男の弱まり」です。
とはいっても、同じ内容で出版するわけにはいきません。前半はこれまでも紹介してきた「Y染色体」の正体をより易しい表現で再編集し、第4〜6章には新しい内容を盛り込みました。性差や寿命の話など、目次には気になる見出しが並んでいます。
第1章 男性に欠かせないY染色体
第2章 男性消滅? 消えゆくY染色体
第3章 男性のつくられ方
第4章 男の弱さをうみだすもの
第5章 男の寿命
第6章 わかりあえない二人
最終章では昔からある命題「性的対立」や最近話題になっているキーワード「エピジェネティクス」についても解説されています。男女の違いについて白黒はっきりさせたい読者のみなさんも多いかもしれませんが、人間や性差はそれほど単純ではないということも納得できると思います。
本文の記載に一部、誤りがありました。編集部のお詫び文;正誤表もポプラ社サイトに掲載されていますので、お知らせします。
—-黒岩さんの書籍を紹介しているこちらの記事もご覧ください—-
【クローズアップ】#38 男はこの世からいなくなる? Y染色体と男たちの運命を探る
(2014年4月11日)
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