夏の夜風が心地よい札幌キャンパス。
日没後、総合博物館1階「知の交差点」は、昼間の賑やかさを脱ぎ捨ててしっとりとしたサロンに変身します。
と、トランプを楽しむグループに遭遇。相手のカードを引くでもなく、机のカードをめくるでもなく、手の中のカードをじっと見つめて時折呪文を唱えています…
きけば、「素数大富豪」をプレイ中とのこと。
素数大富豪。自分の手持ちのカードを組み合わせて相手よりも大きな素数を出し合い、先にカードを使い切った方が勝ち、というゲームです。素数とは、自分と1でしか割り切れない数のこと。彼らは月に一度、素数の日に集まってプレイしているといいます。何人でも愉しめるこのゲーム。4人→5人→4人→2人→…と入れかわりたちかわり顔ぶれを変えつつ、各人の時間が許す限り数と向き合います。
(今日は7月19日。「719」は素数です)
先ほどきこえてきた呪文は、素数を覚えるための語呂合わせでした。「69593(ロックコックさん)」「41593(良いコックさん)」のような有名どころだけでなく、自分たちで大きな数の素数を見つけて語呂合わせを考案し、バリエーションを増やして共有します。毎回、新たな素数と「出遭う」という楽しみ方。
なんて高度な、大人の遊び!!
しかも、ほんの20~30分のあいだに、新しい素数語呂合わせがいくつも生まれていくのだから驚きです。
(あるプレイヤーが今日初めて出遭った素数、「412211」)
(かなり多くの素数を記憶しているが、スマホアプリ「素数チェッカ」を駆使して新たな素数を開拓していく)
新たな素数が繰り出されるスピードに圧倒されつつも、語呂合わせの美しさに心動かされながら観戦していると、不意にあるプレイヤーが目を輝かせて教えてくれました。
「あなたの名前、素数ですよ!!!」
さっき渡した名刺。自分の名前の画数を並べてみると、「65123」。
!!!!!
…こうして人は、「素数」に堕ちていくわけです。